柔軟剤の臭いに困っていませんか？
マイクロカプセル除去の方法を試みました
①香りが数週間続くと言われる柔軟剤について。
これらの柔軟剤は、マイクロカプセルに
ナノレベルの極小サイズの香料が入れられ
ています。
このマイクロカプセルにはイソシアネートなど
の物質が使われています。
これらは、木工用ボンドや瞬間接着剤など
に使用される接着剤で、主に物と物をつな
ぐ為に使われる物質です。
イソシアネートなどで作られたマイクロカプ
セル自体が接着剤になっていて、衣類に強
力に付着します。
これは、香り付きの瞬間接着剤の液にセー
ターを浸したようなそんな状態です。
②こういった日常的に使われている
「香りの粒」
のいったい何が問題なのでしょうか？
通常、肺にはトラップ（ゴミかごの様な
もの）があり、有害なものは、血液には
入らないように出来ています。
ところがナノレベル・マイクロレベルの
微小な分子の香料は、
呼吸器から入って容易に
血液に溜まります。
そして、化学物質過敏症を
発症してしまう可能性があるそうです。
日常的に使っている柔軟剤の臭いを嗅ぐ
と、急に苦しくなったり、グッタリして
しまい、その柔軟剤を使って洗った衣類
に対し、全く近寄れなくなり、身体に異
常を来す場合もあるということです。
ある日突然、これまでいい香りだと思っ
ていた柔軟剤の香りが、化学物質過敏症
を発症した途端に、その人にとっては毒
ガスになってしまい、息を吸おうと思っ
ても苦しくて吸えないような危険な状態
になってしまう恐れがあるのです。
③もう一つの問題が「移り香」です。
マイクロカプセルは接着剤ですから、
椅子などに付着してしまうことがありま
す。
化学物質過敏症の方が「通院で電車に乗
りました。シートにマイクロカプセルが
ついていたようで、移り香で苦しんでい
ます。二着しか着られる服がありません。
その一着が汚染されてしまって、絶望的
な気持ちです。新品の衣類は洗剤や化学
染料で汚染されていて着られるものがほ
とんどありません。もう泣きたいです。」
と、私にお話をしてくださったことがあ
ります。
「絶望的な気持ち」、という言葉が私の
胸に痛く響きました。
また、たとえ自分で使わなかったとして
も、受動喫煙と同じで、他の人が使った
柔軟剤の香りを強制的に嗅がされてしま
うという危険性も考えられます。
④芳香性マイクロカプセルを除去する方法を
試みました。
最近、お客様から柔軟剤を使ったセー
ター、ワイシャツなどを沢山お預かりしま
した。
コートやスーツなどもありましたが、
こちらは柔軟剤を使っていない（ドライし
た衣類）にも関わらず、セーターやワイシ
ャツが強く擦れたところに、かなり臭いの
きつい移り香が残っていました。
ムーの工房ではこれらのものを広げて検証
することが出来ませんので（化学物質過敏
症の方々の衣類がありますので）、ボイラ
ーやシンク等、設備の整っている場所を知
人にお借りしてそこで作業を行うことにし
ました。
アルカリ剤（酸素系の漂白剤）で弱体化
出来る事は、容易に想像できました。
ワイシャツ等の強靭な生地のものは、
お湯でアルカリ剤（通常、ムーでは使って
いません）で炊けば解決できます。
しかし、セーターなどニット製品（特に
ウール・シルク等）にアルカリ剤はご法
度です。
溶けて糸が痩せてしまい、セーターが薄く
なってしまったり、色あせてしまったりと
いうことにもなりかねません。
また、お湯で叩き洗いをすると縮んでフェ
ルト化してしまいます。
マイクロカプセルは除去できたとしても、
着用できなくなってしまっては意味があり
ません。
常温でアルカリ剤（酸素系の漂白剤）を使
わずに除去する必要がある、
と考えました。
アルカリ剤以外のもので、マイクロカプセ
ルをやっつける方法は無いものか……。
柔軟剤を製造したメーカーに問い合わせ
ても、除去する方法はないと告げられま
した。
洗剤メーカー数社、医薬品メーカー、
塗料を作っているメーカー、
接着剤メーカー、その他、様々なところに
問い合わせをしましたが、ウールの芳香性
マイクロカプセル除去については、どこも
否定的な答えしか返ってきませんでした。
クリーニング業界の方にも３社ほどお尋ね
しましたが、やはり「そんなの絶対無理！
アホなことやめとき！」と言われるだけで
具体的な解決方法は何ら見つかりません
でした。
石けんで４０度のぬるま湯で強めの叩き洗
いを何回か繰り返し、臭いがとれたようにみ
えても、クシュクシュッとセーターを揉むと、
またきつい臭いが出てきます。
想像してもわかるように、大量の瞬間接着
剤や木工用ボンドが手に付くとなかなか取
れないように、セーターにたっぷり浸みこ
んだ物を取ることは容易ではありません。
⑤試行錯誤の結果、良い方法、
糸口が見つかりました！
芳香性マイクロカプセル付きの衣類をお預
かりした時は、「これは一筋縄ではいかないぞ」
とは思っていましたが、結果、縄が１００本ぐらい
必要となりました。
ウールの布地と例の柔軟剤を買ってきて、
サンプルをたくさん作り、色んな方法を試して
みました。
酸性浴の中へ漬け込んでみたり、
それを凍らせてみたり、カプセルなら叩き潰した
らどうかと思い、サンプルを木の棒で叩いてみた
りもしました。
考えつくことはすべてやりつくしたとは言え、
クリーニング業歴３０年のクリーニング師
（国家資格）でもある自分が、木の棒でウールを
叩いている姿は、おかしいやら情けないやら…。
涙が出てきて泣き笑い？
ゲラゲラ笑いながら棒でウールを叩きましたが、
やはり効果はありませんでした。
寝ている時もそのことばかりを考えていたようで、
実験で失敗している夢をこの間、何度も見ました。
毎晩、色々と試行錯誤を繰り返しましたが糸口す
ら見つかりません。
そんな日の夜の事です。
苦し紛れにやってみたことがとうとう成功したのです。
今まで何をしてもダメだったのに、その方法で行
うと劇的に臭いが抜けるではありませんか！
ビックリしたり感激したり嬉しかったりで、
その日は興奮して眠れませんでした。
化学的な知識こそありませんが、
「出来ないのなら、出来るまでやる！」
「誰もやったことが無いことだったら、
自分が最初に出来た人になる！」
「自分の限界まで頑張る！」
「お客様の為に自分の為に！」をモットーにして
います。
マイクロカプセルをやっつけるのに
比較的安全なもので、アルカリ剤以外のもの
を見つけました！
それは、エタノールです。
エタノールとイソシアネートはとても仲良しで、
エタノールは、イソシアネートを溶かすのです。
酸素系漂白剤（アルカリ剤）でマイクロカプセルを
弱体化する工程を、ウールなどアルカリに弱い衣類は、
「エタノールで弱体化し、石けんで洗い流す」
というイメージです。
（エタノールは火気厳禁、換気をよくするなどの注意が必要です）
尚、クリーニングハウスムー（せんたく工房 無有）では、
柔軟剤や合成洗剤のマイクロカプセル（イソシアネートなど）や
香料付きの衣類はお受けできません。
理由は2つあります。
一つは、重症の化学物質過敏症のお客様の衣類を沢山お預かりしており、それらに影響するからです。
もう一つの理由は、私自身、化学物質過敏症を発症しています。
化学物質臭がキツイ衣類に反応し（頭痛や倦怠感、呼吸困難など）
近づけないからです。
香料やイソシアネートなどを除去しようとすれば、大量にそれらを吸い込みます。
柔軟剤に浸してしまった衣類は、捨てるのが一番の得策です。
しかし、大切な衣類でどうしても除去して着用したい、
毎日の外出で移り香に困っている・・・・などの理由がある方は、
具体的な洗い方レシピなど公開していますので、下記をご覧ください。
防毒マスク・眼鏡など着用し、くれぐれもご安全に自己の責任において慎重に行ってください。
アルカリ剤が使える衣類の洗濯のレシピ
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アルカリ剤が使えない衣類の洗濯のレシピ
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衣類 の クリーニング