<白い壁:第二章・・・7>
通院日の翌朝、だるい体をひきずるようにして、
なんとかゴミを出した。
洗濯物も、汚れた食器もなく、脱ぎっぱなしの服もない。
山になっていたゴミがなくなったら、
以前のスッキリしたきれいな部屋が戻ってきた。
亮子はその部屋を満足げに見回して、
「あたしだって、やればできるんだから」
と思った。
でも、その部屋が保たれたのは3日程度だった・・・
まず汚れたグラスを洗うのが面倒になって、流しに置きっぱなしにした。
食べたお菓子の袋が、インスタント食品の容器がテーブルに、
脱いだTシャツやバスタオルが洗濯機にたまり始めた。
起きたときの、暑さからくる不快感で、
なんとかシャワーだけは浴びてはいるが、
それすらも面倒に思えてきて、
シャワーも浴びずにいる日もあった。
面倒くさい・・・全てはこのひとことに尽きる。
亮子だって、そうしたくてしているわけじゃない。
でもどうしても体が言うことをきかない、頭が働かない。
片付けるにしても、何から手をつけていいのかわからない。
自分がおかしくなってしまったような不安感から、
頓服薬として出ている薬を口にする。
相変わらず、カフェインはアイスコーヒーでとっている。
あと1Lのペットボトルで、1本半残っているアイスコーヒー。
それで薬を飲んでしまうこともある。
いけないと思いつつ、手に取ったのがたまたまコーヒーだったから
そのまま薬を飲んでしまうのだ。
以前は多少は気にしていた、スーパーの宅配も、
だらしない格好のまま出ることも増えた。
髪も手ぐしでまとめて、ゴムでくくっただけ。
首元が出ていれば多少は涼しい。
それで充分と思っている自分がいた。
亮子は、だらしのない生活に慣れてしまった。
次に片付けるのはいつだろう・・・
バスタオルの予備がなくなってからか?
でも数えたら8枚もあった。
8枚・・・8日は使える・・・
でもその8枚を一気に洗濯するのは面倒だ。
でもやらないと予備がない・・・
でもどうしてもやる気力がない、薬のせいだから・・・
でも、でも・・・「でも」が口癖になりそうな感じがした。
そうして言い訳と反省を頭で繰り返しながらも、
お菓子やインスタント食品を片手にテレビを流し見しながら
亮子は一日を過ごしていた。
(つづく)