<白い壁:第二章・・・6>




「同い年とは思わなかったな・・・」


思わず亮子は口に出してしまった。

誰もいない部屋なのに、きょろきょろしてしまう。


現実が目の前にあった。


山になったゴミ、放置している洗濯物に使いっぱなしのカップ・・・



アラは見えてなかったかな・・・いや、今日の私はアラだらけだ。



亮子は勢いをつけてソファから立ち上がると、

汗だくになったカットソーを脱ぎながら歩き出した。


誰もいないからできることだ。

それが例え夫でも、亮子には誰かの前でそんなことはできない。


まゆこはいつも涼しげだ。

こんな汗もかかないのかもしれない・・・いやそんなことはないか。

でも、とにかく一人でいてもこんなことはしないだろう。


洗濯機から溢れた洗濯物。


半分くらいを取り出すと、洗剤と柔軟剤を入れて、スイッチを押した。


水が入り始めた洗濯機へ着ていたものを入れていく。


シャワーを浴びたい。浴びてスッキリして、

洗濯物も片付けよう。

ゴミは今日は出せないから、できることをしよう。


こういうことは勢いでやらないと、今の亮子にはできない。


シャワーを出して、頭からかぶった。

長い髪が顔にへばりつく。


体を流れていくお湯が、今感じているもやもやを流してくれるように

祈りながら、しばらくそのままでいた。



シャワーから出ると、最後の1枚になったきれいなバスタオルを巻き、

髪を簡単にまとめると、冷蔵庫に向かう。


わびしい中身・・・

冷蔵庫には飲み物ばかり、

冷凍庫にはレトルト食品ばかり・・・


水を取り出すと、キャップをひねって開け、一気に飲んだ。



「カフェインはいけない」


そう言ったまゆこの顔が浮かぶ。



すっかり忘れていた。

煙草もいけなかったような気がする。


冷蔵庫にはアイスコーヒーのボトルがあと3本はある。

捨てるのはもったいないから、きっと飲んでしまうだろう。

たかが3本。今更、気にしても仕方ない。


煙草だけは、なんとかやめよう。

元々、他人との付き合いがてら吸い始めた煙草だ。

禁煙も苦ではないはず。


流しにたまっている使いっぱなしの食器を洗っていると、

洗濯が終わった合図がした。


干すことが面倒くさい・・・


でもここで止めたら、また元の木阿弥だ。


手早く食器を片付けると、

干しっぱなしの洗濯ものをたたんでから

洗濯機から洗いたての洗濯物を取り出し、

残っている分を入れて、また洗剤と柔軟剤を投入した。


洗濯物を干していると、少しずつ落ち着いてきたような気がした。


「私、ちゃんとできてるじゃない」


そんな小さな自信。



二度目の洗濯物がわずらわしいと感じていることが否めないが、

とりあえず片付けていることに満足感を得ていた。



(つづく)