<白い壁:第二章・・・14>




「先生、私、やっぱりおかしいですよ!」


診察室に入って早々、亮子は医師に詰め寄った。


「まぁまぁ、緑川さん、落ち着いて。

 なにがおかしいと思うのですか?」


医師は冷静に対応する。


「家のことがぜんぜんできないし、

 何をするのも面倒で、こんな格好でここまで来ちゃうし、

 以前の私なら絶対にこんなことはないのに!」


亮子は一気にまくし立てた。


「面倒だと思うのは仕方のないことですよ。

 簡単に言えば、薬がそうさせているのですから。

 気になるようでしたら、薬を変えてみましょう。

 それで2週間試してみて、変わらないようなら、また考えましょう」


薬のせい、薬のせいで、私はおかしくなってしまったんだ。

新しい薬なら、元の私に戻れるかもしれない。


亮子は医師の提案に乗った。


「劇的な効果があるわけではないですから、

 その点は了解してください。

 ゆっくり焦らずがこの病気を治すポイントです。

 今はそう言われても焦ってしまうかもしれませんが、

 緑川さんはこうしてちゃんと通院もできているのだし、

 大丈夫ですよ。」


医師はこう言って亮子をなだめた。



薬が変われば、私も変われるかも・・・でも、甘くみちゃいけないのね。


私も大人げなかったわ。

先生は何も悪くないのに。


そうよね。私、なんだかんだ言っても、ちゃんと通院してるし、

宅配スーパーの注文だって、できているんだもの。

何もできてないわけじゃなかったわ。



亮子はスッキリした顔になって診察室を出た。


スッキリした分、やはり今日の服装とメイクが気になったが、

気にしすぎだと思い直して、待合室に向かった。



(つづく)