<白い壁:第二章・・・16>
「今日のワンピースもかわいいわね。
メイクはしてこなかったの?」
亮子がまゆこのワンピースを褒めた。
「メイクはちょっと体調が悪くてできなかったの。
でも暑いから髪だけはまとめてきたんだけど・・・」
詳しい事情は話したくなかった。
話せばまた思い出してしまう。
「そういうときもあるよね。私はちょっと手を抜きすぎたけど。」
亮子はただそう言うだけで、事情を聞いてこなかったことに
まゆこは安堵した。
「木内さ~ん、木内まゆこさ~ん」
受付でまゆこを読んでいる。
「行ってくるわ」
まゆこは少し早足で受付に行った。
薬剤師は簡単にまゆこの状態を確認すると、
いつもと同じ薬の説明を行い、会計をした。
亮子のところに戻りがてらなんとはなしに亮子を見ると、
全体的に疲れているのが見てとれた。
「私は終わったけど、亮子さんはまだかかりそうね」
暗にお茶に誘ってみたのだが、今回の亮子にその気はなさそうだ。
「仕方ないから、待つしかないわ」
ちょうどソファの一角が空いた。
「私、座って待ってるわ。また次回ね。」
「えぇ。またね」
そう言うが早く、亮子はソファに向かってしまった。
お茶に行かずにすんで、少しホッとしたような気がしたが、
逆にあまりのそっけなさに気が抜けたような気もした。
帰ろう。
まゆこは駅へ向かって歩きだした。
(つづく)