<白い壁:第二章・・・17>
新しい薬になったんだもの、効くわよね。
そう考えながら、亮子は薬局を後にした。
まゆこに対して、ちょっと冷たかったかな・・・とも反省しながら。
今日の亮子にはあまり余裕がなかったのだから仕方ない。
こういう日もあるんだ・・・と自分に言い聞かせた。
家に帰る・・・あの部屋に帰るのか・・・
現実に引き戻された気がして、少し身震いがした。
今日は洗濯と食器洗いをしよう!
やればできるんだから、大丈夫よ。大丈夫。
自分を鼓舞しながら、亮子はバッグを抱えて駅に向かった。
自宅。
思っていたよりも、雑然とした部屋に亮子はへこみそうになったが、
勢いのまま洗濯機を回し、食器を洗った。
洗濯は1回では済まなかったが、それでも全て洗い終わるまでやった。
スーパーの宅配も手配したし、簡単にだが、テーブル類の水拭きもやった。
床はまだペタペタして、完璧とは言えないが、
とりあえず見られる部屋には戻った。
1週間に1回はこうして片付けをしよう。
亮子はそう心に決めた。
「やらなければならない」そう考えてはいけないことはわかっている。
でも、それくらいの目標がないと、自堕落な生活におぼれてしまうから。
家事をして汗ばんだ服を脱ぎ、清潔な部屋着に着替えた。
エアコンも特別に入れてしまおう。
冷蔵庫からオレンジジュースを出してきて、洗ったばかりのグラスに入れて飲む。
こうよ、こういう生活をしなくちゃいけないのよ。
自堕落な生活で体重も増えていた。
実は、今日のコットンパンツもウエストがきつかったのだ。
体重計に乗ると4kgも増えていた。
「このままじゃいけない。私は、緑川亮子はこうじゃないけないんだ。」
自分に喝を入れるように口に出して言った。
その厳しい縛りが自分の首を絞めていくことも気づかずに・・・
(つづく)