<白い壁:第二章・・・19>
まゆこはだんだんとメイクが楽しくなってきていた。
通院時だけではなく、雄二と外出する際にも、
どうしても一人で出かけなければいけないときにも、
きちんとメイクをして、髪を整えて行くようになった。
雄二にも「最近、ちゃんとしてるね」と言われたばかりだ。
外出が楽しくなったのかといえば、そうとも言い切れないが、
それでも、以前に比べたら、おっくうには感じなくなってきた。
薬が効いているのか?
まゆこが治ってきているのか?
後者ではないかともまゆこは思うが、
そこは慎重な性格が「まだまだ先は長いわよ」と考える。
それでも、前進していることには違いない。
まだ一人で混んでいる場所へ行くことは難しいが、
役所などには一人で行けるようになった。
空いている平日の時間帯を狙ってのことだが、
それでも、以前のまゆこに比べたら格段の進歩だ。
先日は、自分で予約をして歯医者にも行ってきた。
歯医者は少し怖かったが、それでも泣くこともなく、
落ち込むこともなく、普通に接することができたと思う。
医師からも「最近、顔色もいいし、以前より元気に見えますよ」と言われた。
色白のまゆこはすぐに「顔色が悪い」と言われることが多いのだが、
チークのおかげが、血色が良く見えるのだろう。
少しずつだが、自信がついてきた。
次は、一人で買い物に行ってみようかな・・・
それまで考えもしなかったことを考えてみる。
でも無理はしない。
それが雄二との約束でもある。
一歩、一歩。
きちんと薬を飲んで、できることをする。
最近、日常に不安感を持つこともだいぶ減った。
先生に減薬をお願いしてみようかとも思っている。
もちろん一気にではなく、1種類ずつだが・・・
まゆこは自分がだんだん良い方向に向かっているような気がして、
気分が良くなってきた。
(つづく)