AHn007のブログ

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① 頭部から脚の方向に1.5テスラの磁界をかける

② 側方から90度パルス(ラジオ波)を入射する

③ 身体各部からの信号を受信する

 

 まず①の過程において、身体内部の水素原子核(陽子)は歳差運動をする。

実際は少し異なるがイメージしやすいように、陽子を地球の自転やコマの回転運動にたとえて説明する。ばらばらの方向を軸として自転していた陽子は、それぞれ磁性をもつものの全体としては打ち消し合う。ここで一定方向の静止磁界がかかると、自転していた陽子は、コマのようにその軸自体も回転し、歳差運動を始める。この時それぞれの陽子のつくる磁性の方向は静止磁界の向きと一致する。(実際量子論的には平行スピンが反平行スピンよりも少し多い状態にある)水素原子核の歳差運動の回転数(ラーモア周波数)は、磁界の大きさに比例する(自転の回転数ではない。そもそも自転というのもたとえにすぎない)。

 

 この状態において、②の90度パルスが入ると、自転する地球は、自転しながらも北極と南極が赤道上を回転するごとく、静止磁界に対して90度倒れ、しかも各水素原子核の回転する「北極」の「位相」は一致する。フィギュアスケートのペアの選手の回転のタイミングがきれいにシンクロする時のように。

 

 一方で、90度パルス前と90度パルス後では、全体の系のエネルギーが高い状態に移行する。平行スピン(α)の数が減って、反平行スピン(β)の数が増えるなどと考えたいところであるが(エネルギー的にはα<βでαが安定)、実際にはそうならない。90度パルスが入ると、エネルギー系がα優位の固有状態から不安定な状態に移行する。(β優位の固有状態になるわけでもない)換言すれば、スピン系が余分なエネルギーを吸収した状態ともいえる。(なお、横を向いたスピンは実在せず、横を向いた磁化が実在し観測されうる)イメージしやすくいうと「位相」の揃った棒磁石がxy平面状で(z軸が静止磁場の方向)ぐるぐる回転することで電磁波信号が出力されるのである。

 

 90度パルスが入ってしばらくすると、揃っていた「位相」は次第に「脱相」し、スピン系の余分なエネルギーは次第にまわりの格子に放出され、熱平衡状態に戻る。たとえば3つの波だけに注目した時、sinθが同位相で3つ揃えば、3sinθとなるが、位相がばらけsin(θ-60°)+sinθ+sin(θ+60°)等となると2sinθとなり信号強度が減る。これがT2緩和である。エネルギーの変化はT1緩和である。90度パルス後の水の中の水素原子核は「脱相」するのに、また熱平衡状態に戻るのに時間がかかり、脂肪中の水素原子核は水より速く元の状態に戻る。水では長く揃った位相で回転し続けるのでT2高信号、エネルギー的にも元に戻りにくいのでT1低信号(*)といった具合になる。各微少部分が何で構成されているかで信号の大小が変化するためMRI画像が作成される。(高信号領域は白っぽく、低信号領域は黒っぽく)

(*)T1信号は、再度90度パルスを与えることで、T1緩和によりエネルギー的に戻ってきた平行スピン(α)を再度90倒し、位相を揃え、この信号が観測される。このため戻りの早い脂肪領域では高信号となり、戻りの遅い自由水領域では低信号となる。

 

 さらに傾斜磁場を加え、断面の左右でラーモア周波数を変え、場所によって周波数(回転数)、位相(位置情報)を決めて、各領域ごとの信号の大きさを決定できるようデータをえることによって断層像を得る。観測する信号は各領域から発信された信号の合成波であり、フーリエ変換によって周波数ごとの振幅が得られるが、周波数が同じ複数の領域のそれぞれの位相の信号の大きさ(振幅)は1回のデータでは定まらない。n個の未知数がある連立方程式を解くのにn個の関係式が必要であるように、n回条件を変えてデータを取る必要が生じる。このためMRI検査は、CT検査等より時間を要することになる。