腎機能低下の高齢者に

タンパク制限は必要か?

 

 

腎臓の機能を評価するのに

腎臓で処理できる1分間の血液量で

ステージ分類しています。

 

1分間に90cc以上濾過できる ステージ1

60〜89ccまで       ステージ2

30〜59ccまで       ステージ3

15〜29ccまで       ステージ4

14cc以下         ステージ5末期腎不全

 

 

ステージ2、3の

軽度から中等度腎機能が低下した

高齢者におけるタンパク質摂取量と全死亡率

を調査した結果、

 

タンパク質摂取量が多いほど死亡リスクが低く、

タンパク質摂取の利点が欠点を上回る。

 

スウェーデン・カロリンスカ研究所発

 

 

 

【方法】
スウェーデンおよびスペインの3つの

60歳以上の地域住民を追跡調査したデータを

縦断的に統合し、

 

腎臓病のステージ分類別に

総タンパク質、

動物性タンパク質、

植物性タンパク質の摂取量と

10年全死亡率との関連性を推定させ、

 

その結果を腎臓の機能が正常である

高齢者(対照群)の結果と比較。

 

参加者は2001年3月~2017年6月に募集され、

最長で2024年1月まで追跡された。



【結果】
合計1万4,399例を解析

(腎機能低下群:4,789例、対照群:9,610例)

 

腎機能低下群は女性が2,726例(56.9%)、

平均年齢が78.0歳であった。

追跡期間中に、両群合わせて1,468例が死亡。


●腎機能低下群では、

 総タンパク質摂取量が多いほど

 死亡リスクが低くなった。

●腎機能低下群の各タンパク質摂取量は

 総タンパク質、動物性、植物性タンパク質

 いずれでも摂取量が多いほど

 死亡リスクは低かった。

●腎機能低下群の総タンパク質の摂取量が多いほど

 死亡リスクが低かったのは

 75歳未満でも75歳以上でも同じであった。

●総タンパク質摂取量が多いほど

 死亡リスクが低い恩恵は

 腎機能健常者ほうが腎機能低下群よりも大きかった。


【結語】
総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質の

摂取量が多いほど、腎機能低下群の死亡リスクが低かった。

 

腎機能健常者ではより効果が強く、

軽度または中等度の腎機能低下群でも

タンパク質摂取の効果の方が上回る。

 

【引用文献】

Carballo-Casla A, et al. JAMA Netw Open. 2024;7:e2426577.

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