30代で糖尿病と診断されると
寿命が14年短くなる可能性
人生のより早い時点で
2型糖尿病と診断されるほど、
寿命が短くなると報告された。
30代で診断された場合、
50歳時点の余命が14年短くなる。
イギリス、ケンブリッジ大学発
性別で比較した場合、
女性でより大きな影響が。
【方法】
2件の大規模疫学研究を統合した。
1件は、心血管疾患の潜在的なリスク因子探索のための
国際共同研究（Emerging Risk Factors Collaboration）、
もう1件は「UKバイオバンク」
高所得国を中心に19カ国、
151万5,718人（平均年齢55.0±9.2歳、男性45.6％）
のデータを解析。
【結果】
年間平均して2310万人を追跡し、
24万6,670人が死亡。
2型糖尿病と診断されていた人は、
その診断時年齢が若いほど
全死亡（あらゆる原因による死亡）
リスクが高かった。
全死亡のハザード比（HR）は、
診断時年齢が
30代の場合は2.69、
40代では2.26、
50代で1.84、
60代1.57、
70歳以上1.39。
50歳時点の平均余命は
アメリカの非糖尿病者と比較すると、
30歳で診断されていた場合で14年、
40歳で診断されていた場合で10年、
50歳で診断されていた場合は6年、
短くなった。
同様にEUの非糖尿病者と比較すると、
30歳で13年、
40歳で9年、
50歳で5年
短くなると計算された。
性別で解析すると、
女性は糖尿病と診断された場合の余命が、
男性よりも短縮した。
例えば米国の非糖尿病者と比較した場合、
50歳時点の平均余命は
男性では、診断時年齢が
30代であれば約14年、
40代なら約9年、
50代なら約5年
短縮するのに対して、
女性は
30代であれば約16年、
40代なら11年、
50代なら7年
短縮した。
【考察】
糖尿病を発症してしまうと
生活のさまざまな側面に
影響が及ぶので、
2型糖尿病の発症予防を
社会的な緊急課題とすべき。
なお、国際糖尿病連合（IDF）は
2021年の世界の成人糖尿病患者数を
5億3700万人と推定。
糖尿病発症後に
治療が不十分な状態が続いていると、
心臓発作や脳卒中、
腎臓病、がんなどの合併症の発症、
および、それらによる
死亡のリスクが増大。
今回の研究で示された
糖尿病患者の余命短縮も、
多くはそれらの合併症が原因。
2型糖尿病を発症する年齢が若ければ若いほど、
合併症の負担が大きくなる
という従来からの考え方を裏付た。
しかし、糖尿病の早期発見
とその後の集中的な血糖管理によって、
糖尿病による合併症の発生を
抑制する余地があることも示した
と強調している。
【引用文献】
高所得国における 2 型糖尿病の診断時のさまざまな年齢に関連する平均余命: 2,300 万人年を観察（仮邦題）
Life expectancy associated with different ages at diagnosis of type 2 diabetes in high-income countries: 23 million person-years of observation.
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