アミロイド陽性アルツハイマー病患者

に炭水化物を制限すると

大脳の萎縮を遅らせることができる

 

 

ヒト属はおよそ200万年前に

アフリカでアウストラロピテクス属から分化し、

現生人類であるホモ・サピエンスは

40万年~25万年前に現れたとされています。 

 

多くは水辺の近くに生活し

小動物や爬虫類、昆虫、

魚、貝類を動物性タンパク質として摂り、

 

木の実や、根菜、根っこや

熟すると殻が割れるピスタチオや

どんぐりなどを粉にして

食べていたようです。

 

およそ1万5千年前から1万年前には

小麦はすでに栽培されていたと考えられています。 

 

小麦が小麦粉として

食べられるようになったのは約5千年前。

 

 

それまでは、糖質をなかなか摂ることが

できなかったので、

ヒトのからだの中で、

ブドウ糖を蓄える仕組みが発達しました。

 

 

インスリンは、血液中のブドウ糖を

細胞に取り込ませることができる

唯一のホルモンです。

 

貴重なブドウ糖を蓄えるために

インスリンをたくさん分泌して

 

ブドウ糖の団子ダマである

グリコーゲン

として肝臓、筋肉にストックさせます。

 

 

さらに入ってくるブドウ糖を

中性脂肪という形に変えて

内臓脂肪に蓄えます。

 

内臓脂肪の中の脂肪は

元をただせば、ブドウ糖です。

 

 

先進諸国で

主食がたっぷり食べれる

ようになったのは100〜200年前から。

 

今は主食たっぷり

果糖たっぷりの食生活です。

 

 

インスリンだけが

たくさん使われています。

 

インスリンを出す細胞だけが

働きすぎで早く寿命が尽きてしまいます。

 

2型糖尿病と言います。

 

 

 

アルツハイマー病の特徴は、

広範な大脳皮質の萎縮。

 

アミロイドは,

私たちの体を構成している

タンパク質の形や性質が変わり,

 

水や血液に溶けにくい

線維状の塊となった物質。

 

 

このアミロイドが沈着し始めると

30年後

”アルツハイマー型認知症”

を発症します。

 

 

 

アミロイド沈着が確認された

アルツハイマー病患者において、

 

炭水化物制限を行うと

中程度~高度の炭水化物摂取の場合と比較し、

大脳皮質の厚みが温存されていることを確認。


図:将棋の攻め/守りの主観的価値と各脳部位との関係

【方法】
アミロイド陽性アルツハイマー病患者31例を、

糖質制限の基準である

1日130g、520kcal

に基づき2群に分類。

 

大脳皮質の厚みは、MRIから算出。

 


【結果】

・炭水化物摂取量が低い群は、

 体性運動ネットワークおよび視覚ネットワーク

 の皮質の厚みが有意に厚かった。


・炭水化物の摂取を減らすと、

 前頭頭頂葉、帯状皮質、視覚ネットワーク

 の皮質の厚さが厚いままキープされていた。


著者らは

「炭水化物制限は、

アルツハイマー病患者の皮質萎縮を軽減する

可能性。

 

正味炭水化物摂取を130g/日未満に抑えることは、

検証済みの地中海食を順守することにつながり、

インスリンレベル低下による恩恵も受ける」。

 

 

【Dr田中コメント】

2017年からアメリカ糖尿病学会は

糖質制限食を第1位にすえました。

地中海食は第2位です。

 

2019年からガイドラインに

糖質制限食を患者に指導しなさいと

明記しています。

 

【引用文献】

アミロイド陽性アルツハイマー病患者の断面における皮質萎縮に対する炭水化物制限食の影響: 小規模サンプル研究(仮邦題)

Impact of Eating a Carbohydrate-Restricted Diet on Cortical Atrophy in a Cross-Section of Amyloid Positive Patients with Alzheimer's Disease: A Small Sample Study.