【2768】双日(東証プライム) OP
現在値 3,662円/100株 P/E 8.2 P/B 0.90 3月配当 9月配当 株主優待なし
03年に日商岩井とニチメンが統合。自動車、航空、肥料に強み。持分で鉄鋼・LNG。
今期予想配当金は年2回・合計135円のため、配当利回りは約3.69%となります。
双日は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2021年3月期 営業収益 16,024億円、最終利益 270億円 EPS 112円
■2022年3月期 営業収益 21,007億円、最終利益 823億円 EPS 352円
■2023年3月期 営業収益 23,798億円、最終利益 1,158億円 EPS 481円
■2024年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 1,000億円 EPS 447円 ce修正
□2023年9月2Q 営業収益 11,872億円、最終利益 479億円 EPS 212円
□2023年12月3Q 営業収益 17,881億円、最終利益 752億円 EPS 335円(2/2)
2023年9月期の営業収益はYoY▲6.8%の1兆1,872億円、最終利益はYoY▲39.2%の479億円となり、概ね市場予想線で進捗しました。資源価格等の諸元(予想→実績)は、原料炭価格が230$→254$/t、一般炭が160$→154$/tと計画並みながら、空前の高騰を記録した前年ハードルが高く、利益柱の資源は大幅反落となりました。また自動車もタイが足を引っ張ったものの、商業施設の売却があった不動産は想定超となり、石炭の穴をある程度埋めています。
なお2024年3月期の通期見通しは3Qで増額しており、最終利益はYoY▲10.1%の1,000億円(期予:950億円)に修正しています。足許の諸元は為替148円/$、原料炭333$/t、一般炭116$/tで推移しているため、主に原料炭価格のMtoMによる上振れとなります。それでもアグリはタイ飼料事業の渇水影響で苦戦するほか、4QにLNG配当を控えるインフラも通信タワーの持分売却益剥落が影響が大きく、自動車も比事業・豪州事業ともに想定以下で推移しているような状況のため、想定超の石炭価格の高止まりが全社業績を支えているような構図です。
進行期は3年中計の最終年度であり、この2024年3月期までの年平均最終利益を650億円(当初:270億円)、ROE10%+(当初:4.5%)、ROA3%(当初:1.2%)、PBR1.0倍を目標としたものの、PBRを除き既に前倒しで達成しています。そのため、今次中計での総投資額を当初計画の3,300億円から4,500億円まで増額し、進行期単年で2,050億円を投じます。
今次中計では、既にインフラ分野として米国の省エネESCO、中東の天然ガス火力・淡水化、スペイン電力小売り等に約700億円を投じたほか、水産加工を手掛けるマリンフーズの全株取得、ベトナムでのビナミルク合弁、JALUXへのTOB等で約2,000億円程の投資枠を消化しています。なお会社側では、進行期単年で2,550億円を投資する計画でしたが、フィリピン自動車事業や台湾洋上風力が低進捗であり、累計5,000億円に届かない公算です。
既存事業の利益状況は、石炭価格正常化後の資源分野で300億円/y、化学事業で100億円/y、自動車事業等で約200億円/yの主要3事業で全社合計目標の650億円/yの目途が立っているような状況です。会社側は翌期からスタートする次期中計の利益計画を1,000億円→1,200億円とすることを公表したものの、先般の上方修正で“発射台”とする1,000億円に達したことから、当面の見通しはクリアと解されます。
株主還元については、今次中計では配当性向30%基準&PBR1.0倍までは時価ベースDOE4%、PBR1.0倍超の場合は簿価ベースDOE4%(※配当利回り4%下限保証)という還元フォーミュラとしてきましたが、次期中計ではDOE4.5%に切り上げる方針を公表しました。進行期の配当は5円増配となる年135円配に修正したものの、自己資本の積み上げも順調に進捗しているため、翌期の配当の出来上がりは年150円+が想定されます。
*参考記事① 2023-09-07 3,237円 OP
【2768】双日/石炭価格の沈静化考慮でも低調なスタート、自社株買い満額なら総還元性向は6割超。
*参考記事② 2023-01-30 2,605円 OP
【2768】双日/石炭価格は依然高水準にあり、再増額・再増配が期待されよう。
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