【2809】キユーピー/鶏卵価格高騰一服もマヨ・ドレは低空飛行、海外市場の成長が投資論点。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2809】キユーピー(東証プライム) NT

現在値  2,628円/100株   P/E 30.4  P/B  1.33  11月配当優待 5月配当


マヨネーズ、ドレッシング国内首位。子会社にアヲハタ、持分法にキユーソー流通。
配当は5月末・11月末の計50円配当のため、配当利回りは1.90%となります。

キユーピーは株主優待制度を実施しており、11月末時点で半年以上保有を継続する単元株を保有する株主に対して、1,000円相当の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.28%となります。なお3年超保有株主に対しては、1,500円相当の進呈となり、同利回りは約2.47%となります。

業績を確認していきます。 

■2020年11月期 売上高 5,311億円、営業利益 283億円、EPS 79.6円

■2021年11月期 売上高 4,070億円、営業利益 279億円、EPS 128.2円
■2022年11月期 売上高 4,303億円、営業利益 254億円、EPS 115.3円

■2023年11月期 売上高 4,533億円、営業利益 180億円、EPS 86.3円 ce修正(10/5)

□2023年5月2Q 売上高 2,203億円、営業利益 68.4億円、EPS 34.5円

□2023年8月3Q 売上高 3,358億円、営業利益 133億円、EPS 79.7円(10/5)

2023年5月中間期の売上高はYoY+6.2%の2,203億円、営業利益はYoY▲51.9%の68.4億円となり、大幅な減益となりました。市販品の惣菜・野菜は“巣ごもり”一巡で反動減となったものの、主力のマヨ・ドレで値上げ効果が寄与したほか、業務用は経済活動再開により数量回復がみられ増収となりました。他方で利益面については、鳥インフル影響による鶏卵価格高騰のほか、油価上昇による生産コスト上昇等で収益が一段と圧迫されました。

 

なお2023年11月期通期見通しは3Q時点で再修正しており、売上高がYoY+5.3%の4,533億円(従予:4,470億円)、営業利益はYoY▲29.2%の180.0億円(従予:140.0億円)を予想しています。国内市販品のマヨ・ドレは値上げによる購入手控えで力強さを欠く一方、正常化に向かう中国等海外市場の回復が顕著なほか、業務用は卵商品の価格改定が寄与します。利益面も鶏卵相場高騰の沈静化や、船便運賃・油価の一服もあり、原価率の悪化に歯止めがかかる公算です。

 

当社は昨年2024年11月期を最終年度とする4ヵ年中計を公表しており、進行期は3年度目に当たります。売上高目標を5,311億円→4,250億円に減額する(*物流事業切り離し影響)一方、営業利益は283億円→320億円に引き上げる計画です。取組事項として、①サラダ・タマゴへの集中、②海外エリア強化、③事業ポートフォリオの集約・選別の3軸を挙げているものの、想定超の鶏卵価格の高騰による収益の押し下げが年150億円程発生しているため、計数目標の達成は困難な状況です。

 

①については、家庭内調理離れや食卓へのサラダ出現率低下が進んでいることから、マヨ・ドレやサラダ惣菜の協業推進によりタマゴ系をはじめとする加工系惣菜を強化し、常温棚ではなく冷温棚の販路獲得を狙います。然しながら、相対的に割高な惣菜が生活防衛意識で伸びていないほか、原価高騰の転嫁も必要なことから、高付加価値化による単価引き上げが構造的に難しい状況です。

 

②の海外は、堅調な中国市場で華南エリアの深堀りを進める計画であり、生産能力を2倍に増強した広州工場の新設や営業所(3カ所)を新規開設します。また、和食系料理の人気が高まる北米や、ASEANが足許で年率2割超と想定超のペースで伸長しており、北米に2025年に新工場を開設するほか、インドネシアにも第2工場を開設する計画です。③は工場省人化だけでなく、2021年には子会社だったキユーソー流通システム(9369)を持分法に落として物流部門をカーブアウトしています。

 

財務の状況については、自己資本比率は65.5%でネットキャッシュ300億円超と潤沢な状況です。今次中計期間における株主還元は総還元性向50%以上(うち配当性向35%以上)としており、この水準を上回るものの、配当金は3円増配の年50円配当(配当性向57.9%)を見込んでいます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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