【5253】カバー/ホロライブグッズ強化で採算性改善へ、当面は年率3割の成長が期待されよう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【5253】カバー(東証グロース) OP

現在値 2,662円/100株  P/E 50.2 P/B 21.5  3月無配 株主優待なし

Vチューバー事務所「ホロライブプロダクション」を運営。グッズ販売とライセンスが柱。

 

配当基準日は3月末ですが、無配予想となっています。
カバーは株主優待制度を実施していません。

業績を確認していきます。当社は2023年3月のIPO銘柄です。
■2021年3月期 売上高 57.2億円、営業利益 16.0億円 EPS 20.5円 

■2022年3月期 売上高 136.6億円、営業利益 18.5億円 EPS 20.9円 

■2023年3月期 売上高 204.5億円、営業利益 34.1億円 EPS 42.0円 

■2024年3月期 売上高 265.6億円、営業利益 46.5億円 EPS 52.9円 ce
□2023年6月1Q 売上高 51.4億円、営業利益 8.9億円 EPS 9.2円(8/9) 

□2023年9月2Q 売上高 111.0億円、営業利益 20.0億円 EPS 22.9円 四e

2023年3月期は売上高はYoY+49.7%の204.5億円、営業利益は同+84.2%の34.1億円となり、2月公表の落着見通しを大きく上振れして着地しました。在籍VTuber数はYoY+14名となる75名、会員数はYoY+17%の4,682名と続伸し、“巣ごもり”特需一巡後ながらも、配信・MD・ライセンス・ライブの4セグ全てで2割超の増収となりました。特に4Qに開催したEXPOのチケット販売が好調だったほか、好採算のライセンス(アウト)も想定超となり、ミックスの改善で利益率が一段と改善しました。

 

進行期である2024年3月期の予算については、売上高はYoY+29.9%の265.6億円、営業利益は同+36.1%の46.5億円と3割程の増収増益を予想しています。既存VTuberの認知度向上施策に取り組むほか、新規デビューで内外10人程度の在籍数の純増を見込みます。なお、8月9日に開示済の1Qは売上高51.4億円&8.9億円と低進捗ながら、下期偏重を考慮すれば計画線となります。

 

当社は中計等で定量目標は開示していないものの、成長戦略の3つのフェーズとして、①VTuberの強化、②MD強化、③メタバースの拡張を挙げています。①はコンスタントに新規VTuberを投入するだけでなく、既存VTuberについても新規音楽プロジェクトである“Blue Journey”など楽曲を介した認知度拡大や、読売新聞社との広域協業(巨人軍・東京ドーム)により、ライト層の取り込みを図ります。

 

➁のMDはグッズ等のコマースを伸長させる方針であり、従来は小ロット&高単価のコア層向け商品(受注生産)が多かったMDを、認知度拡大に伴って中低単価の廉価商品を強化し、量販化を目指します。なお、同業のANYCOLORがグッズ量産化で採算性を大きく改善していることから、当社の方が利益率の大幅改善余地が残されています。③はメタバース空間“Holoearth”の開発を進めており、足許で10億円程が積まれている仮勘定については、2024年のローンチまでに20~23億円まで膨らむ見通しです。

 

海外展開については、7月にLAで大型ライブを行ったように、北米を中心とした英語圏では既に一定のIP成長がみられるものの、ANYCOLOR同様にインドネシア市場の拡大も進めています。これらの一連の取組や、育成途上の男性プロダクション“HOLOSTARS”の成長等の上乗せもあることから、向こう3年程はトップラインCAGR30%と継続的な利益率改善が見込まれます。

 

なお財務状況については、本年3月のIPO時に10億円強を調達しており、自己資本比率は47.6%となっています。業種的には特段の資金需要がないとみられるものの、当社の場合は、“Holoearth”の投資負担(追加負担)が想定されることから、当面は配当せずに財務を温存するものと解されます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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