【7494】コナカ/傘下サマンサ低調だが、高効率の「DIFFERENCE」への転換が進む。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【7494】コナカ(東証プライム) OP

現在値  353円/100株   P/E --.-  P/B 0.53  9月配当優待 3月配当優待

紳士服チェーン3位。オーダー特化の「DIFFERENCE」が急成長。傘下にサマンサ。
配当は3月末・9月末の合計20円配であり、配当利回りは5.67%となります。

コナカは株主優待制度を実施しており、9月末・3月末時点で単元株を保有する株主に対して、20%割引券を3枚進呈しています。

業績を確認していきます。 

■2020年9月期 売上高 478億円、営業利益▲49.3億円、EPS▲444.7円 

■2021年9月期 売上高 585億円、営業利益▲78.3億円、EPS▲66.6円
■2022年9月期 売上高 631億円、営業利益▲32.5億円、EPS▲111.1円

■2023年9月期 売上高 693億円、営業利益▲4.4億円、EPS▲8.5円(2/21)

□2022年12月1Q 売上高 171億円、営業利益▲0.1億円、EPS 19.1円(2/14) 
□2023年3月2Q 売上高 365億円、営業利益 4.7億円、EPS 26.6円(2/21)

2022年9月期の売上高はYoY+7.8%の631億円、営業利益はYoY+45.7億円の▲32.5億円となり、対前では収益改善したものの、対計画は大幅未達となりました。主力のファッション事業は前年ハードルが低かったほか、「DIFFERENCE」へのシフト奏功で単独SSSは112.3%と2桁増となったものの、新型肺炎禍からの戻りは鈍く、予算の来客数前提YoY+36%を大きく下回りました。他方、「かつや」を中心とするフード事業は計画通り横ばい圏を確保しています。出退店は、出店22・退店37の純減15店となり、店舗数は761店となりました。

 

なお2023年9月期の通期見通しについては、1Q後に早くも減額しており、売上高がYoY+9.7%の693億円(期予:720億円)、営業利益はYoY▲9.7億円の▲4.4億円(期予:5.3億円)に修正していますが、連結子会社のサマンサタバサの減額反映が主要因となります。5ヶ月分が既開示のファッション事業の単独SSSは114.2%と堅調に推移しているほか、オーダー強化による単価増だけでなく、年明けからは入客数の顕著な回復がみられます。また、フード事業の「かつや」もCM効果で好調に推移しているため、サマンサによる見えがかりの悪化を除けば、本体事業を中心に緩やかな業績回復が見込まれます。

 

進行期は2026年9月期を最終年度とする5ヵ年中計の2年度目であり、売上高を585億円→793億円、営業利益を▲78.2億円→28.8億円まで引き上げる計画です。今次中計での取組事項としては①SPA再構築、②ポートフォリオシフト、③オーダースーツシェア向上、④O2Oマーケ強化、⑤EC等拡大、⑥IT投資、の6点が掲げられていますが、計数の達成確度については低在庫・高単価・高効率の「DIFFERENCE」への転換と拡大が論点となります。

 

①のSPA再構築は、DIツール活用によるDX化や物流効率の向上による原価低減策であり、②のPFシフトは、オーダー業態への業態転換だけでなく、展開立地も従来型の郊外ロードサイド店から、ターミナル駅前やSCへのビルイン出店へとシフトする方針です。③のオーダースーツは、注力中の「DIFFERENCE」に一層リソースを集中させ、30億円程の部門売上を75億円程まで引き上げる計画です。そのため、「コナカ」の店長級の熟練社員を異動させるほか、④のO2Oに関しても「DIFFERENCE」中心のマーケティングを行います。


かような全社シフトにともない、ロードサイドを中心した既存の「コナカ」店については、借地・借家契約が残存していることから、他の紳士服各社と同様にドラッグストア等への外部転貸しているほか、一自らFCとしてアークランドサービスの「かつや」「からやま」や、やる気スイッチグループの民間学童「キッズデュオ」、療育の「コぺル」を展開して穴埋めしています。なお、5割以上の持分を握るサマンサタバサについては、外出需要・インバウンドの消失で鞄市場が急速に縮小しており、当面は浮上が見込めない状況となっています。

 

なお財務の状況については、自己資本比率は34.3%とまずまずの水準を維持しています。株主還元については、最終赤字見込みのためタコ足配当となるものの、当社は湖中氏の同族企業であり、一族への資金還流ニーズがあることから、巡行水準の年20円が維持される見通しです。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村