石油関連11社の株価をレビューします。商号前の符号(◎〇▲△×)は投資魅力度ですが、競馬予想感覚で適当に付しております。詳細は以下の通り。◎を付した銘柄はなく、セクター全体ビューとしてはおおむね中立です。
▲INPEX(1605) 1,468円
油価次第ではあるものの、OPEXプラスによる協調減産継続とイクシスの安定稼働で翌期もある程度の高止まりが見込まれる状況。今期は巨額の自社株買いを実施しているため、既に目標総還元性向40%を大きく超過しているものの、期末で多少の追加増配の可能性も残る。翌期は配当据置か。
△石油資源開発(1662)4,030円
基本的な考え方はINPEXと同様だが、当社の方が配当寄りの株主還元。懸案のサハリン1の喪失リスクは一旦後退したが、足許油価と為替を考慮すると来期は大幅減益ガイダンスの公算が高い。今期は一過性で膨らんだ最終利益に対して配当性向30%を適用しているため、営業減益幅より減配幅の方が大きくなるとみられる。油価の回復が待たれる。
〇出光興産(5019) 3,095円
在庫除き総還元性向50%で、配当は期初予想の年120円の据置で物足りない状況。2024年3月期以降の新中計でも同水準の還元が継続される見通しだが、とりあえず次の3Qでは自社株買いの公表が強く期待される。懸案のニソン製油所はベトナム政府の要請もありフル稼働&半期黒字化しているものの、実力ベースではまだ赤字の模様。
△ENEOSHD(5020) 455円
ジャパン・リニューアブル・エナジーの“高値掴み”、相次ぐ製油所のトラブル、前会長のわいせつ不祥事といったコンプライアンス懸念など、機関投資家の当社マネジメントに対する信頼が損なわれている状況。事実、1,000億円もの自社株買い(9.3%)を実施しながらも全く浮上しない株価は、バリュエーションの毀損が疑われる。年22円配維持か。
▲コスモエネルギーHD(5021)3,705円
筆頭株主だったUAE・アブダビ政府系ファンドの全量放出を、村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが搔っ攫っていき、既に約2割もの持分を持たれている状況。元売り業界の再編期待燻り、カタリスト含み。株主還元は同業他社意識で、在庫除き総還元性向50%。千葉製油所でトラブルだが、石油開発では儲かっている。
△伊藤忠エネクス(8133)1,011円
元伊藤忠燃料であり、エネルギー商社。ガソリンスタンドだけでなく、家庭向けLPガス供給や、インフラファンドのスポンサーでもある。配当性向40%を基準に業績なりで漸増配傾向。特に投資論点なく、株価はフェアバリュー。
×富士石油(5017)258円
コスモHD同様に村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが筆頭株主成りしていたものの、9月末時点で大部分を売却した模様。コスモHDによる“仕掛け”期待後退で、思惑含みからの株価高騰からの調整局面が続く。様子見が賢明。
×三愛オブリ(8097) 1,222円
旧三愛石油で石油・卸卸大手、傘下にキグナス石油。ネット無借金で好財務。航空燃料復活期待も、カタリストなし。記念配当込みの配当予想年40円で利回り3%程度であり、同業との相対比較から投資妙味は非常に乏しいと考える。
△日新商事(7490) 913円
ENEOS系石油製品販売中堅、産業用燃料。漸増配傾向にあるが、利回り2%と低水準。セクター内では珍しくカタログギフトの株主優待制度があるが、それを含めても利回りは低い。
×BPカストロール(5015)937円
石油系巨大メジャーであるBPの子会社で、自動車用潤滑油が主力。油価高止まりによる原価高と円安痛打で業績低調。配当はフリーキャッシュをベースとしつつも、配当性向100%基準のフル還元が基本のため、予想の年46円配は下方修正後ベースでは配当性向200%強であり、既に“出し過ぎ”の状況。
△カメイ(8037)1,187円
東北最大の石油・LP商社、仙台市青葉区本社で亀井一族による同族会社。仙台トヨペット店だけでなく、シャトレーゼのFC店まで展開。漸増配傾向にあるも、配当性向は12%程度で渋い。P/Eは4倍程度、P/Bは0.3倍程度とディープバリューだが、浮上要素は乏しい。
以上、11社をレビューしました。また適当なタイミングで振り返りをしたいと思います。
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