【4927】ポーラ・オルビスホールディングス(東証プライム) OP
現在値 1,823円/100株 P/E 28.8 P/B 2.36 12月配当株主優待 6月配当
化粧品4位。高級品のPOLA、通販のORBISが2大ブランド。THREEを育成。
配当金は6月末・12月末の年52円で、配当利回りは約2.87%となります。
ポーラ・オルビスHDは株主優待制度を実施しており、12月末に単元株を保有する株主に対して1,500円分のポイント、3年超保有の場合は3,500円分のポイントを進呈しているため、配当優待利回りはそれぞれ約3.67%、約4.77%となります。
業績を確認していきます。
■2019年12月期 売上高 2,199億円、営業利益 311億円 EPS 89.0円
■2020年12月期 売上高 1,763億円、営業利益 137億円 EPS 20.9円
■2021年12月期 売上高 1,786億円、営業利益 168億円 EPS 53.0円
■2022年12月期 売上高 1,700億円、営業利益 117億円 EPS 63.2円ce修正
□2022年6月2Q 売上高 787億円、営業利益 49.1億円 EPS 49.3円
□2022年9月3Q 売上高 1,196億円、営業利益 76.6億円 EPS 58.9円(10/31)
2022年6月中間期の売上高はYoY▲11.6%の787億円、営業利益はYoY▲45.9%の49.1億円となり、予算比は無いものの大幅減益となりました。旗艦のPOLAについては、中国本土のロックダウンによる営業制限や韓国免税への出荷抑制影響を受けたほか、国内委託販売も新規顧客の獲得が進まず15%の減収となりました。またORBISも単価こそ反発したものの、同様に顧客減少により減収したほか、育成中のTHREEも広告抑制で減収となり、各ブランド総じて低調に推移しました。
2023年12月期の通期見通しは中間時点で修正しており、売上高はYoY▲4.8%の1,700億円(期予:1,860億円)、営業利益はYoY▲30.7%の117億円(期予:177億円)に減額しています。POLAは新型肺炎禍の影響を色濃く受ける中国本土と韓国免税の低調が継続しているものの、足許では国内委託販売の客数が改善(上期▲16%→3Q▲6%)しており、底入れ期待がかかります。他方でORBISは新製品のUが好調ながらも、既存品軟調で苦戦が続きます。尚、10月31日に開示済の3Qは売上高1,196億円&営業益76.6億円で推移しており、修正見通し水準の進捗とみられます。
進行期は2023年12月期を最終年度とする3年中計の2年度目となっているものの、計数目標を期初時点で下方修正しており、売上高を1,763億円→2,100億円(当初:2,200億円)へ、営業利益を137億円→252億円(当初:330億円)へ引き上げることとしています。相当程度見込んでいたインバウンドの戻りをゼロに変更したほか、戻りの鈍い国内化粧品事業の実勢を織り込むとともに、海外CtoC(個人間転売)向け販売もブランド維持のために抑制したことから、計画比でトップライン伸長が鈍くなる見通しです。
取組事項としては、①POLAの直販強化、②ORBISのCRM強化とライン拡充、③育成ブランドの3点が挙げられています。①は独自OMO構築によるEC販売の促進と、ポーラレディの集約化・効率化推進がメインとなるものの、エステメニューやホワイトニング商品を拡充するほか、②のORBISもCRMでのAI活用による最適化と、新製品Uの拡販、メンズライン拡充を図ります。③の育成ブランドについては、先行するTHREEが来年にも黒字化するほか、Amplitude、ITRIMも2024~25年での黒字転換を目指します。
但し会社側では、進行期の落着見通しの下方修正に伴い、中計の再修正も匂わせているような状況のため、達成可視性は極めて低い状況です。新型肺炎禍のエステの忌避と物販減少、構成比高い中国のロックダウン長期化といった一過性の押し下げ要素だけでなく、当社屋台骨であるポーラレディの高齢化による減少(3万人→2.7万)と販売力の低下、ORBISの低迷長期化など根の深い問題が多く、中国のインバウンドが急回復するなどしない限り、浮上の糸口が中々掴めない状況が続きます。
財務状況については、ほぼ無借金で現金700億円超を丸抱えしているほか、銀座・五反田・青山・渋谷の一等地にも不動産を抱えており、自己資本比率は80%超の高水準を維持しています。そのため、株主還元ポリシーとして「配当性向60%超」を定めており、実際に目下の予想配当は配当性向96.7%の年52円とするなど積極還元路線を維持しています(当社特有の事情として、筆頭株主であるポーラ美術財団に一定額の配当金を拠出する必要があるとみられる)。
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