【4495】アイキューブドシステムズ/まずは半導体不足解消による売上高成長率の回復を確認したい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4495】アイキューブドシステムズ(東証グロース) OP

現在値 1,662円/100株  P/E 19.4  P/B 3.94  6月配当  株主優待なし

法人向けMDM(モバイル端末管理)サービス首位のCLOMO提供。月額課金のSaaS。


配当基準日は6月末であり、配当金は年20円のため配当利回りは1.20%となります。

アイキューブドシステムズは株主優待制度を導入しておりせん。


業績を確認していきます。

■2020年6月期 売上高 16.4億円、営業利益 4.1億円 EPS 63.5円 

■2021年6月期 売上高 20.2億円、営業利益 5.6億円 EPS 80.8円

■2022年6月期 売上高 24.5億円、営業利益 8.2億円 EPS 102.7円

■2023年6月期 売上高 27.3億円、営業利益 6.5億円 EPS 85.7円 ce

□2022年9月1Q 売上高 6.5億円、営業利益 1.6億円 EPS 21.3円(11/9)

□2022年12月2Q 売上高 13.0億円、営業利益 3.5億円 EPS 47.4円 四e

 

2022年6月期の売上高はYoY+21.0%の24.5億円、営業利益はYoY+45.1%の8.2億円となり、売上高は計画未達も、利益は過達となりました。主力のMDM事業において、半導体不足を原因とした顧客側の端末調達不足により、新規契約法人数はYoY▲438社の+524社(期末総数3,915社)止まりとなり、契約数は急ブレーキとなりました。他方、ARRベースではYoY+9.0%の24.8億円と着実増となり、OCCも3.3%と良好な水準を維持しました。


進行期である2023年6月期の予算は、売上高がYoY+11.4%の27.3億円、営業利益はYoY▲20.5%の6.5億円を見込みでおり、2桁増収ながらも減益予想となっています。MDM事業において、半導体不足解消の目途が立っていないことから、トップライン成長率が鈍化する見通しです。また利益面についても、リリース予定の商材が反動増となることから償却費が増加するほか、R&DやCVC費用の積み増し、業容拡大に備えた人員とシステム増強も積極的に実施するため、減益予想となります。尚、11月9日に開示済の1Qは売上高6.5億円&営業益1.6億円で進捗しており、(SaaSを考慮すれば)計画線の進捗と解されます。

 

当社は中計等を開示していないものの、中長期目標として売上高年率25%成長&営業利益率40%(実績33.7%)を掲げています。主戦場であるMDM市場は、法人のガラケーからスマホへの契約切替や、DX潮流の進展による端末の趨勢増により、2025年までの向こう4年間で147億円→232億円まで成長することが見込まれていることから、当社も市場拡大なりの高成長を目論みます。

 

MDM市場における当社のシェアは業界首位の21.9%に達しており、親密なNTTドコモとの協業戦略によりこれを40%に引き上げる計画です。支配的シェア確立のため、この2023年6月期より本格的な全国展開を推進しており、札幌・名古屋・仙台に相次いでオフィスを開業するほか、人材獲得のため人件費・広告費を足許で大きく積み増すなど、利益を犠牲にしたトップライン成長を志向します。ただSaaSモデルゆえ、半導体不足に起因する足許の受注減少が“逆リカーリング”的に効いて、成長モメンタムが鈍化していることから、まずは半導体在庫の復元とそれによる当社売上の正常化を確認したいところです。

 

当社は2020年7月のIPO時の公募増資で5.4億円を調達していますが、目下の財務状況は無借金で現金23億円を丸抱えしています。自己資本比率は69.3%に上り、CVCファンド以外特にこれといった資金需要も無いものとみられます。配当は終わった期で10円増配して年20円とし、進行期は横引きの20円予想となっていますが、目下の株価水準では自社株買いが強く望まれるところであります。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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