【7809】壽屋(東証STD) NT
現在値 11,560円/100株 P/E 24.8 P/B 5.85 6月配当優待
フィギュアやプラモデルの企画・製造・販売。版権獲得力に強み。
配当金は6月末の年1回70円のため、配当利回りは約0.61%となります。
壽屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末の株主に対して3,000円分の自社商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約0.86%となります(*3年以上保有の場合はクオカード1,000円分を追加)。
業績を確認していきます。
■2020年6月期 売上高 73.4億円、営業利益 2.2億円 EPS 28.0円
■2021年6月期 売上高 95.4億円、営業利益 9.8億円 EPS 255.5円
■2022年6月期 売上高 142.9億円、営業利益 23.3億円 EPS 619.6円
■2023年6月期 売上高 160.0億円、営業利益 18.0億円 EPS 467.0円 ce
□2022年9月1Q 売上高 47.1億円、営業利益 9.2億円 EPS 228.5円(11/14)
□2022年12月2Q 売上高 75.0億円、営業利益 13.0億円 EPS 324.6円 四e
2022年6月期の売上高はYoY+49.8%の142.9億円、営業利益はYoY+136.7%の23.3億円となり、2度の増額見通しを更に上振れて着地しました。地域別では展開全域で伸長し、特に販路チャネルが拡大した北米売上がYoY*2.3倍に飛躍的に伸長したほか、中国を中心としたアジア圏も同3割増となりました。商品別では、自社新規IPの“アルカナディア”、自社既存IPの“創彩少女庭園”、他社IPの“呪術廻戦”が好調に推移したほか、好調な自社IP割合増加によるミックス良化により、利益は一段増となりました。
進行期である2023年6月期の予算については、売上高はYoY+11.9%の160.0億円、営業利益はYoY▲23.0%の18.0億円を予想しています。売上は国内で2割増を見込む一方、北米・アジアは横這い想定とし、欧州その他は減収想定としています。利益面については、円安による原価増は為替予約で影響は限定的ながらも、リアルイベントの開催や、北米展示会への出展、広告宣伝費等の費用発生を見込みます。なお11月14日に公表済の1Qの売上高は47.7億円&営業益9.2億円と超過ペースで進捗しています。
当社は中長期の経営計画を公表していないものの、成長戦略として①自社IP拡充、②海外・EC展開、③サプライチェーン拡充、④プラモデル・フィギュア以外の展開、⑤経営基盤強化の5本柱を掲げています。①自社IPは得意とする美少女・ロボット域で“フレームアームズ・ガール”、“メガミデバイス”、“創彩少女庭園”等のブランド力強化を志向しており、ZOZO提携よるアパレル化といったコラボ施策や、山手線のラッピング車両等による露出強化を進めています。版権料原価の発生しない自社IPは好採算であり、今後はプロダクトありきではなく、ライセンス貸しによるロイヤリティ収入の確保を目指します。
②海外展開については、中国・米州の海外ディストリビューターとの提携強化、未進出のインド・中南米の開拓、ECサイト拡張による拡販を目指します。7月には北米最大のロス展示会と香港展示会のほか、世界最大級のアニメコンベンションであるサンディエゴの「コミコン2022」にも出展しています。④はプラモデル開発時のデータをAR・VRに転用し、ひいてはメタバース関連事業への参入を目指して投資継続するものの、現状では3Dアバターの開発等に留まっている模様です。
かような取組や、インバウンドの回復、海外での強いフィギュア・プラモデル需要から当面は年率2桁超の高いモメンタムでの売上成長が見込まれるものの、懸案事項は油価上昇と円安による原価上昇であり、ファブレスの当社は為替予約の切れる翌期から利益影響を受けることとなります。そのため、嗜好品である強みを生かした柔軟な価格転嫁や、国内製造拠点(協力会社網)の早期拡充の如何が中長期的な利益成長確度を占う投資論点となりそうです。
なお、配当については横這いの年70円配(配当性向15.0%)を予想しています。自己資本比率は42.6%と潤沢な水準であるものの、現状では安定配当を還元ポリシーとしているため、利益成長並みの増配ピッチが見込まれ、株式分割とそれに伴う優待拡充期待が精々かと思われます。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。