【4443】Sansan/インボイス追い風でBillOne引き合い増、高い成長モメンタムが続く。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4443】Sansan(東証プライム) NT 

現在値  1,481円/100株  P/E --.- P/B 15.8  5月配当(無配) 株主優待なし

クラウド型名刺管理の法人向けサービス草分け。個人向けビジネスEightも展開。

 

配当基準日は5月末ですが、無配予想となっています。

Sansanは株主優待制度を導入していません。


業績は以下の通りとなります。

■2020年5月期 売上高 133億円、営業利益 7.5億円 EPS 11.0円 

■2021年5月期 売上高 161億円、営業利益 7.3億円 EPS 5.9円 

■2022年5月期 売上高 204億円、営業利益 6.3億円 EPS 6.8円 

■2023年5月期 売上高 251~257億円、営業利益 9.1~12.8億円 EPS 7.3~10.2円ce

□2022年8月1Q 売上高 57.1億円、営業利益▲2.2億円 EPS▲2.6円(10/13)

□2022年11月2Q 売上高 115.0億円、営業利益 5.0億円 EPS 1.9円 四e

 

2022年5月期の売上高はYoY+26.2%の204億円、営業利益はYoY▲14.2%の6.3億円となり、予算レンジ内で落着しました。法人向けのSansanは同+18.6%、個人向けのEightは同+39.9%、ARRは同+22.9%の198億円に其々伸長しました。Sansanで名刺交換機会が減少しているものの、期末月次では新型肺炎禍後で最大受注となるなど、成長モメンタムを維持したほか、解約率(OCC)も0.62%と低水準となりました。利益面については、広宣費横ばいながらも、採用強化で人件費&販管費を37億円積み増したため、微減益に留まりました。

 

進行期である2023年5月期の予算は売上高がYoY+23.0%~26.2%の251~257億円、(調整後)営業利益は同YoY+25.5%~76.3%の9.1~12.8億円を見込んでおり、増収率は概ね維持される見通しです。Sansan/Eightはプロダクト刷新による契約件数と従量課金の増加を見込むほか、注力中のBillOneはインボイス導入と電帳法改正による仮需も期待されるため、ARRを14億円→28億円以上まで引き上げる計画です。利益面については、販管費(人材採用と広宣費)の積み増しを見込んでいるものの、トップライン成長比では抑制するため、利益率はやや改善する公算です。

 

当社は中期的な売上高CAGRを「30%」に定めていましたが、Sansan事業の成熟化にともない、2025年5月までの向こう3年については「20%超」に下方修正しています。他方で利益面については、株式報酬とのれん等償却費を戻し入れた“調整後”営業利益ベースで、Sansan/Bill One両事業の合算で100億円超を目指すこととしています(※Eightは黒字化と安定利益計上)。

 

今後の成長戦略については、Sansanが名刺管理市場で83.1%もの支配的シェアを握っているものの、全従業者ベースTAMの3%程に留まることから、開拓余地は湛然としています(但し既導入企業は大企業が多いため今後は営業効率が低下する)。また、プロダクト刷新により、従来型の名刺管理機能に留まらず、名刺関連性による営業促進DX機能の実装を済ませています。この機能性の向上により、ライセンス料(ないし最低使用料)を改定し、新規顧客獲得だけでなく、ARPU引き上げによるトップライン成長を目指します。

 

注力中のBillOneについては、電子インボイスではオービックやPCA、マネーフォワードやラクスだけでなく、資本業務提携を締結していたウイングアーク1stとも直接的に競合することから、直近で同社株式を売却して資本関係も解消しています。BillOneはアナログの請求書を一括で受取代行するサービスも併せて提供しており、BPO要素もあることから、その独自性も含めて当面は高い成長が見込まれます。そのため、会社側ではSansanのリソースを本事業に振り向けており、当面は投資先行フェーズが続く見通しです。

 

以上から、Sansan刷新によるARPU引き上げ効果の発現にはやや時間を要するとみられるものの、BillOneが足許時点でも非常に高い成長モメンタムを維持していることから、会社側目標より若干高い「売上高CAGR25%」の維持が投資論点になります。なお、これらの既存プロダクト成長以外の上乗せ要素として、資本業務提携済ながら連結前のUnipos(Fringe81)の貢献開始や、(成長力は未知数であるものの)契約管理のContractOneの存在が挙げられます。

 

なお財務面については、自己資本比率45.9%でネットキャッシュ120億円と盤石な状況でエクイティファイナンス懸念は薄いものの、初配についてはかなり先になろうかと思います。

 

*参考記事① 2021-10-08 2,525円 *分割遡及修正済

【4443】Sansan/名刺交換機会減少もARRは順調増、Fringe81を事実上の買収へ。

 

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