【3178】チムニー/助成金剥落も財務体質の改善が進む、他社比では買収・出店余力も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3178】チムニー(東証プライム) NT

現在値   1,220円/100株  P/E 235.5  P/B 4.10  3月配当優待 9月株主優待

居酒屋『はなの舞』『さかなや道場』を直営・FC展開。
配当基準日は3月末・9月末ですが、現状未定(直近実績は年10円)となっています。

チムニーは株主優待を導入しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に対し、各3,000円の食事券を進呈しておりますので、(配当)優待利回りは約4.91%となります。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 411億円、経常利益 0.3億円 EPS▲146.4円 

■2021年3月期 売上高 132億円、経常利益 ▲45.3億円 EPS▲467.8円

■2022年3月期 売上高 101億円、経常利益 35.5億円 EPS 63.6円

■2023年3月期 売上高 240億円、経常利益 3.0億円 EPS 5.1円 ce

□2022年6月1Q 売上高 44.9億円、経常利益▲5.6億円 EPS▲30.1円(8/9)

□2022年9月2Q 売上高 105億円、経常利益▲3.5億円 EPS▲23.2円 ce

2022年3月期の売上高はYoY▲23.6%の101億円、経常利益はYoY+78億円の32.5億円となり、予算比で大幅減収・大幅増益で着地しました。通期で新型肺炎禍の臨時休業・時短営業を強いられたこともあり、“通常営業”が出来た店舗ベースの通期SSSはYoY105.6%と想定以下で推移しました。他方、過年度分を含む受取助成金の計上が63億円分あったため、経常利益で黒字に転換しています。出退店については、従来型居酒屋である「はなの舞」を中心に大きく退店超過となり、期末の展開店舗数は純減61店となる543店まで減少しました。

 

進行期である2023年3月期の予算については、売上高はYoY2.3倍の240億円、経常利益はYoY▲90.8%の3.0億円を見込んでいます。店舗数が大幅に減少しているものの、予算上は大幅増収で組んでいるため、SSSが相当程度戻る前提と解されます。利益面も不採算店の閉鎖一巡により、営業利益段階でYoY+50億円と実質的な黒字転換を見込む一方、助成金剥落の入り繰りで経常利益は大幅減となります。出退店については、概ね純増ゼロ圏で想定しています。

 

当社は業態ポートフォリオの組替えを推進しており、宴会対応可能な大人数席を設けた従来型居酒屋の「はなの舞」「さかなや道場」を、少人数・低価格帯の「安べえ」や、KRフードサービスが展開する「かごの屋」インスパイア系とみられるファミリー向けの「はなの屋」などに転換を進めています。目下の注力業態は魚業態の「魚星」であり、豊洲市場の買参権と店内生け簀を活かした付加価値化による高単価化の推進と、「浜べゑ」という浜焼・焼肉の独自性のあるハイブリット業態を開発しています。

 

また、引き続きMAも推進しており、2017年には富士マンションとハヤマフーズからオムライス等洋食業態の「66DINING 六本木六丁目食堂」7店舗を事業譲受したほか、2019年には都内と埼玉で焼肉の「牛星」を展開するシーズライフを買収して子会社化しています。新型肺炎禍で後退した居酒屋事業から脱却すべく、これらの“外買い”した日常食ブランドへ転換や社員の再配置を進めるほか、FCにも業態組み合わせによる“二毛作営業”の提案により、加盟離脱・廃業の抑制を推進しています。

 

他方、財務状況については、終わった期に63.1億円もの助成金収入があったことから、自己資本比率は28.3%に回復し、手許現金も100億円と高水準を維持しています。そのため、同業他社よりなお優位な状況にあることから、前述のようなMAや新規出店にも十分耐えられる状況となっており、現状の配当予想は未定ながらも既に年10円ながら復配も果たしています。

 

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