【9262】シルバーライフ(東証一部) BY
現在値 1,262円/100株 P/E 31.6 P/B 2.76 7月配当(無配) 株主優待あり
高齢者向けの配色サービスのFC本部運営が柱。高齢者施設への食材販売、冷食OEMも。
配当基準日は7月末ですが、配当実績は無く引き続き無配予想となっています。
シルバーライフは株主優待制度を導入しており、7月末に2単元を保有する株主に対して自社ECサイト弁当商品券を10,000円分進呈しておりますので、2単元保有時の優待利回りは約3.96%となります。
業績を確認していきます。
■2018年7月期 売上高 65.4億円、営業利益 5.9億円 EPS 43.7円
■2019年7月期 売上高 78.0億円、営業利益 8.8億円 EPS 60.2円
■2020年7月期 売上高 88.3億円、営業利益 9.3億円 EPS 63.8円
■2021年7月期 売上高 100.5億円、営業利益 8.3億円 EPS 50.9円
■2022年7月期 売上高 117.2億円、営業利益 5.5億円 EPS 39.9円 ce
□2022年1月2Q 売上高 53.9億円、営業利益 1.6億円 EPS 13.0円 ce
2021年7月期の売上高は前期比13.8%増の100.5億円、営業利益は同10.1%減の8.3億円となり、本年6月の増額予算を上回って着地しました。主力のFC向け販売については、加盟店数を50~60店積み増す計画だったものの、加盟契約が好調に進んで100店増の934店にまで増加しました。他方、高齢者施設向けもバラ売り方式廃止やダウングレードの影響を引きずる形で横ばいだったものの、冷食割合上昇によるミックス効果がありました。OEM他も既に製造限界に達したものの、2割の伸びを確保しています。利益面については、3月に稼働を開始した足利新工場の減価償却費と一過性費用の発生で3.5億円ほど削られたため、堅調なトップラインの一方、減益を余儀なくされています。
進行期である2022年7月期の見通しについては、売上高が16.6%増の117.2億円、営業利益は同34.5%減の5.5億円を予想しており、2桁増収となる一方、3割超もの減益を見込みます。FC向け販売については、加盟店を70店程積み増して大台の1,000店乗せを目指すほか、高齢者施設向けも新工場の活用による量産化により冷凍パックの従来品「ここだわりシェフ」の廉価版を投入し、価格戦略でシェア拡大を狙います。そしてOEMその他についても、新工場効果で製造限界問題が解消したため、3割もの売上増を計画しています。利益面については、新工場の固定費負担のほか、量産にあわせた広告宣伝費の積極投下、新倉庫を大型居抜き倉庫に変えたことから減価償却費が一層重くのしかかり、全社では大幅な減益計画となります。
当社は前期からの新中計で5年後の2025年7月期に売上高140億円(CAGR10%)、営業利益16.0億円(CAGR11%)を“目標”とし、その手前のマイルストン“予想”として2023年7月期に売上高115億円(CAGR9%)、営業利益11.0億円(CAGR9%)を目指していました。ところが、新設倉庫への投資をより大型の居抜倉庫(築29年の加須倉庫)に変更したため、本来10~20年償却の冷凍設備等が4年での償却を強いられ年▲0.6億円の減価償却費が別途オンされることから、手前の期を下方修正する一方、将来の期を若干上方修正しています。
本中計期間における最大の論点は、37億円の巨費を投じた足利工場(第2工場)の竣工であり、若干遅れたものの、本年3月に無事に竣工を果たしています。足利工場は2013年にすかいらーくから買収した館林工場(第1工場)のおよそ4倍の生産能力となる1日15万食を製造することが出来るようになるため、この工場の立ち上がりと生産能力拡大にともなう拡販が鍵となります。また、この足利工場についても、年3.5億円の償却費負担増(機械は定率償却)があるため、中計序盤ほど償却の負担感が重くのしかかる格好です。
そのため、この足利工場の稼働率アップこそが中計の達成可視性の最大の鍵であり、特に稼働に直結させやすいOEM他を中心とする冷凍弁当分野については、首位の日清医療食品や、ファンデリー(3137)の規模も知れているので、当社がamazonや自社サイトを活かした直販と弁当自体の価格競争力(安価)でシェアを抑えにいけるかどうかがポイントとなります。また、柱のFC向け販売も、会社側は加盟店の増加を保守的にみているとみられるほか、加須倉庫の外部貸しといったオプションもあるので、足許のモメンタムが維持出来れば、中計は達成可能とみています。
財務面については、自己資本比率60%弱を維持しているものの、本5年中計で合計50億円の投資(第1工場、第2工場、冷凍倉庫、システム)を計画しているような状況です。そのため、現状ネット無借金に近い状況ではあるものの、配当については当分先になるものと判断しています。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。