【9778】ブックオフグループHD/“巣ごもり需要”満喫も、正常化なら営業効率の低下懸念も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9778】ブックオフグループホールディングス (東証1部) NT

現在値 979円/100株 P/E 42.7  P/B 1.33 5月配当優待 

中古本首位のブックオフの持株会社。総合化志向、ECの連携強化。大型出店加速は要検討。
配当金は5月末一括の8円配当のため、配当利回りは0.82%となります。

ブックオフグループHDは株主優待を導入しており、5月末の単元株主に対して2千円分の自社商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.86%となります。なお3年以上の長期保有により進呈額が2.5千円分にグレードアップし、その場合の配当優待利回りは約3.37%となります(※別途アンケートの回答により3百円分の付与あり)。

業績を確認していきます。変則決算となります。

■2019年3月期 売上高 807億円、経常利益 21.2億円 EPS 112.2円 

■2020年3月期 売上高 843億円、経常利益 18.9億円 EPS 13.8円 

■2021年5月期 売上高 935億円、経常利益 25.0億円 EPS 9.0円 14m変則

■2022年5月期 売上高 850億円、経常利益 12.0億円 EPS 22.9円 ce
□2021年11月2Q 売上高 415億円、経常利益 4.5億円 EPS 5.7円 四e

2021年5月期の売上高は前期比10.9%増の935億円、経常利益は同32.2%増の25.0億円となり、14ヶ月変則決算のため単純前期比較は出来ないものの、対期初予算では減収・増益となりました。BOOKOFF既存店は新型肺炎禍でアパレル売上が低調に推移したほか、館全体の閉鎖や集客力低下の影響を受けた百貨店・商業施設内店舗が想定以下となりました。他方、ロードサイド他の一般店舗に関しては“巣ごもり需要”の増加により書籍売上が増加したほか、時短営業下でも営業効率が向上し、人件費・水道光熱費等のコストが抑制されたため利益の残りが大きくなった格好となります。


12ヶ月決算に復帰する2022年5月期の予算については、売上高が9.2%減の850億円、経常利益は52.2%減の12.0億円を見込んでいます。前提となるBOOKOFF既存店売上高は100%と横ばいで想定しており、“巣ごもり需要”の一巡の反動減が予想されるものの、時短・休業店舗の営業再開、入居商業施設の集客力回復による底上げが見込まれます。会社側では3Q期間までは横ばい商状、4Qから本格回復する前提としていますが、次第にフル営業に戻ることにより人件費・水道光熱費等の運営諸経費が増加するため、利益率は一段と低下する公算です(実績期の助成金の戻りがあるため表記よりは良化するとみられる)。


当社は2023年3月期までの5ヵ年中計で、経常利益を10.9億円→30億円まで引き上げるほか、ROAを2.2%→6.5%、有利子負債営業C/F倍率を9.2倍→5.0倍へ其々良化させる目標を掲げていましたが、新型肺炎禍による経営環境の激変を理由に今般取り下げています。当初方針では向こう4年で100億円の投資枠を設定し、①新規出店40億円、②既存店改装24~32億円、③ITシステム40億円を投じる予定でした。序盤2ヵ年の実績として、②の改装は160店強の改装完了で既存店売上高も改善に転じた一方、①の出店は500坪超級総合店舗である「SUPER BAZAAR」の出店が6店、買取窓口の新設も10店に留まっており、進捗まちまちな中での取り下げとなりました。

 

なお、当面の計数目標感を新たに公表しており、2025年5月期までの4ヵ年で経常利益が12億円→18億円→21億円→24億円と尻上がりに良化する想定をしています。当面は前述の出店・改装といった実店舗投資よりは、IT・マーケティングに大規模投資をする方針であり、特に向こう2~3ヵ年のP/Lが痛む公算です。具体的にはECサイト刷新・POS刷新・庫内システム強化・アプリ強化などへの先行投資を進め、スローガンとしては「ひとつのBOOKOFF」を掲げ300万人のアプリ会員の再活性で、多業態利用・買取の促進や休眠会員の掘り起こし等を実施する方針ですが、ワクチンの普及具合によっては好調な既存店が一転して大きな反動減もあり得るため、一見して保守的に見える新計数目標の可視性はまだ高くないものと考えています。

財務面については、営業外で新型肺炎禍の一過性損失を認識していることから、有利子負債営業CF倍率は7.8倍と見えがかり上はかなり悪化しているものの、自己資本比率は31.9%水準にあるため特段の問題は無いものと考えております。配当については、2円増配となる年8円を予定しており、計算上の配当性向34.9%に上るものの、これは非現金支出の特損が見込まれているとみられるため、実質的にはそこまで負担感の水準と考えています。

 

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