今日のひとこと(個人投資家重視企業を冷静に考える)。 | なちゅの市川綜合研究所

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みなさまはご投資先のIRに問い合わせされたりしますでしょうか。私は投資を始めてそろそろ20年になりますが、その手の問い合わせをしたことは一度もありません。根がシャイなので恥ずかしくて電話なんてできない()、といった理由もありますが、申し訳ない気持ちが先行してしまって出来ないというのもあります。

 

そもそも企業のIR担当者の方は多く居るわけではありません。IR室やIRグループがあるような大企業ならいざ知らず、総務部門や広報部門、財務・経理部門の方が兼任されていたり、1人だったりしますので、言うまでもなく多忙なケースが多いです。

 

少し乱暴な言い方をすれば、個人投資家も機関投資家も1人の株主のQAに対応する手間は一緒です。個人投資家は1単元とか10単元とか買ってくれるかもしれませんが、機関投資家は1,000単元とか、10,000単元とか買ってくれる(ないしは売ってくる)可能性があります。ではどちらに限られたIRリソースを注ぐことが、株価向上に寄与するでしょうか。仮に自身がIR担当者であり、業績考課の最重要評価項目が株価の上昇であったとしたら、果たしてどちらを優先するでしょうか・・・。

 

そんなことをついつい考えてしまうので、個人的にはやはり機関投資家を優先してほしいですし、私は平等に扱ってほしいなどと思ったことは一度もありません。たまにIR問い合わせで特ダネ情報をつかんだ旨発信される個人投資家の方もいますが、フェアディスクロージャーの観点からはやや疑問ですし、そういう情報を簡単に個人に漏らすような会社は、得てして機関投資家向けの1on1meetingではもっと凄い情報を匂わせている可能性も考えられます(機関投資家の方が大株主ですし、IR担当者への“詰め”が個人投資家とは比較にならない程キツかったりするので、サラリーマン心情的には理解出来る部分もありますが・・・それとこれとは話は別です)。

 

そもそも個人投資家を重視する企業とはなんでしょうか。合理的な理由としては、株主数や流動性を確保したい、買収防衛的な意味で分散させておきたいといったものが考えられます。ただそうした指標は最重要指標である株価と比べると重要性は薄いものです。うがった見方をすれば、機関投資家のアポが入らない(相手にされていない、ないし、もうお腹いっぱいで買えない)ので、仕方なく手間のかかる個人投資家の開拓にリソースを割いている可能性も考えられます。

 

そのため個人向けIRフェアなどに出展していて、「明らかに個人投資家とコミュニケーションを取りたがっている」会社に対しては、私も遠慮なくIR担当者に質問したりもしますが、必ずしもそこの出展企業が株価的に有望かというと一概にそういうものでもないと思います。私はキーエンスも任天堂も個人投資家向けのIRフェアで一度もみたことはありません。

 

今回の記事は研究ご熱心な個人投資家の方には少々耳の痛い内容になってしまったので申し訳ありませんが、個人投資家がIRに問い合わせすること自体は決して悪いことではないと思います。然しながら、せめてご多忙なIR担当者の方のお手間にならないように「既にHPに開示されているような公知情報を聞かない」、「端的にわかりやすく聞く」、「沈黙期間を考慮する」、「アポ無し訪問は絶対にしない」などなど、マナーを守って質問するようにしたいですね。(おわり)

 

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