【9783】ベネッセホールディングス(東証1部) NT
現在値 2,438円/100株 P/E 46.9 P/B 1.65 3月配当優待 9月優待
「進研ゼミ」など通信教育最大手。高齢者ホーム、出版等へ多角化。傘下に「ベルリッツ」。
配当は3月末・9月末合計年50円を予想しているため、配当利回りは約2.05%となります。
ベネッセホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、単元を保有する株主に対してカタログギフトを進呈しており、ハウスカードのポイント2,600円相当*2回で計算した場合の配当優待利回りは約4.18%となります。
業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に切り替えています。
■2018年3月期 売上高 4,344億円、営業利益 126億円、EPS 128.8円
■2019年3月期 売上高 4,394億円、営業利益 162億円、EPS 50.9円
■2020年3月期 売上高 4,485億円、営業利益 212億円、EPS 65.3円
■2021年3月期 売上高 4,275億円、営業利益 130億円、EPS 32.4円
■2022年3月期 売上高 4,410億円、営業利益 175億円、EPS 51.8円 ce
□2021年6月1Q 売上高 1,054億円、営業利益▲10.2億円、EPS▲31.4円(7/29)
□2021年9月2Q 売上高 2,170億円、営業利益 112億円、EPS 32.7円 ce
2021年3月期の売上高は前期比4.7%減の4,275億円、営業利益は同48.4%減の130億円となり、2Q時点で開示となった対見通しではやや上振れました。柱の国内教育事業は、傘下の東京個別で学校休業による休校影響や教科書改訂による費用増があり減益となったものの、進研ゼミの在籍数増もありトップライン自体は増収を確保し想定超で推移しました。また介護・保育事業も、ホームや保育園・学童施設増により増収確保となったものの、介護士の待遇改善や要員増により減益となっています。他方、ベルリッツ事業についても施設閉鎖や留学支援事業の営業自粛により大幅な減収減益となっています。
進行期である2022年3月期の見通しについては、売上高が3.2%増の4,410億円、営業利益は33.7%増の175億円を予想しています。主力の国内教育事業については、新型肺炎禍の一巡とオンライン補強策による東京個別や英語教室の早期回復を織り込むほか、堅調な進研ゼミについもデジタル講座の歩留まり良化傾向が認められることからV字回復を想定しています。他方、介護・保育事業は実績期に引き続いて戦略的な施設拡大を図る一方、新設による入居率の低下や人件費の増加が重しとなるため苦戦継続が見込まれるほか、ベルリッツ事業は拠点集約等により損分点が下がっているものの、企業側の英会話投資意欲後退が懸念されます。なお、7月末に開示済の1Qでは大幅な損益改善が確認され、概ねインラインでの業績進捗が認められます。
当社は昨年、2026年3月期を最終年度とする5年中計を公表しており、新型肺炎禍の終息が予想される2024年3月期を始期とした3年間で年率3%の売上高成長と(最終的な出来上がりの)営業利益率8%を目標に据えています。そして手前となる実績期と進行期の2年間については、V字回復フェーズとしての位置付けとしており、翌2023年3月期については営業利益260億円と新型肺炎前の業績水準の奪回どころか、それを大きく上回る大変意欲的な計画となっています。
柱の進研ゼミについては、タブレット会員の獲得強化により会員歩留まりの改善と採算性の向上を図ります。またK&F(キッズ&ファミリー)については、既に45万人の会員を有する「たまひよアプリ」を起点に、小学校高学年までカバーする「しまじろうクラブアプリ」を新たに開発することで顧客エンゲージの強化を図るとともに、中国事業についても幼児教育は中国当局による教育規制の対象外となることから、引き続き深耕を図る方針です。また、大リストラを実施したベルリッツについても大幅な拠点縮小やFC化によりかなり筋肉質になっており、早期の赤字脱却が期待されます。ただこれらの取組が奏功したとしても、ベルリッツの企業規模縮小やオンライン競合激化(スマイルゼミ等)により中計目標水準はかなりハードルが高くなったとみられ、可視性が低い状況と考えます。
他方、財務の状況については、自己資本比率は1年前比1.4%減の31.3%となっており、一定の水準を維持しています。配当については「安定性維持」の観点から、予想配当性向96.4%とフル還元状態ながら年50円配が維持される見通しとなっています。
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