【4275】カーリットHD/好調品は半導体等一部に限られる、政策保有株式の削減に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4275】カーリットホールディングス(東証1部)  NT

現在値 725円/100株  P/E 13.2  P/B 0.59 3月配当 株主優待あり 

化薬・化学品生産。塩素酸ソーダ高シェア。伊藤園向けボトリングも。
配当は3月末の一括・12円配のため、配当利回りは1.66%となります。

カーリットホールディングスは株主優待制度を導入しておりまして、3月末の100株以上の株主に対して、500円分のUCギフトカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.34%となります。なお、3年以上の長期保有で進呈額が1,500円となりますので、同利回りは約3.72%となります。

業績を確認します。企業会計基準第29号適用による収益認識基準変更(新収益)があります。
■2018年3月期 売上高 517億円、営業利益 20.2億円 EPS 63.7円 

■2019年3月期 売上高 540億円、営業利益 23.2億円 EPS 66.7円 

■2020年3月期 売上高 497億円、営業利益 15.9億円 EPS 29.1円 

■2021年3月期 売上高 455億円、営業利益 15.7億円 EPS 51.8円 

■2022年3月期 売上高 310億円、営業利益 18.0億円 EPS 54.7円 ce新収益

□2021年9月中 売上高 145億円、営業利益 5.0億円 EPS 14.7円 ce

2021年3月期の売上高は前期比8.5%減の455億円、営業利益は同1.5%減の15.7億円となり、期初予算比減収増益となったものの、概ね予想通りとなりました。化学品事業については、新型肺炎禍に伴う花火大会の中止で煙火商材が低調に推移したほか、ガラス破壊器具付き自動車用保安煙筒が新車販売の減少が影響を受けました。主に伊藤園向けのボトリング事業も外出自粛風潮の中で駅・自販機・コンビニの売上低迷のあおりを受けたほか、産業用部材についても一部半導体向けが大変好調だったものの、鉄鋼高炉向けの需要減少・工期延期により減少し、全セグメントで減収となりました。

進行期の2022年3月期の予算については、新収益基準への変更に伴う「実態ベース」の増減率比較では、売上高が4.6%増の310億円、経常利益は14.3%増の18.0億円と増収増益を計画しています。柱の化学品事業については、新型肺炎禍の沈静化で花火大会向けの煙火の復調や、自動車用保安煙筒も車検延長措置の終了による反動増が見込まれます。他方、ボトリング事業は概ね横ばい想定も原価低減により増益、産業部材事業についても目下の半導体特需によりシリコンウエハーが牽引する形で大幅な増収増益を見込んでいます。なお、新収益基準への変更により、利益影響はないものの、ボトリング事業における有償支給取引が加工賃のみ計上になるほか、化学品事業における代理人取引が純額計上となるため、160億円程度の減収となります。


当社はこの2022年3月期を最終年度とする3年中計で、売上高を380億円→490億円(左記は新収益基準洗替、従来基準では650億円)、営業利益を23億円→30億円へそれぞれ伸長させる計画でしたが、ボトリング事業における新規製造ライン建設中止や、新型肺炎禍による全般的な減販により売上高目標を実態ベースで180億円減額したほか、利益も売上の大幅未達により12億円減額しており、新型肺炎禍前に戻るどころか中計策定前のアクチュアルすら大きく下回る公算です。

 

2015年に約17億円(@547円)の公募増資を実施し、リチウム電池試験場の設備投資や、過塩素酸アンモニウム製造設備増強を実施していますが、新型肺炎禍の低調な業績推移を鑑み、これらのR&D機能については持株会社から中核会社に移管し、所謂“選択と集中”を進める方針です。特に当社はロケット燃料原料(過塩素アンモニウム)分野では国内唯一のメーカーであるほか、既にこの分野には多額のR&D費用を投入しているため、早期のロケット推進薬の開発と民間ロケットへの上市が期待されます。なお、この2022年3月期は年間の減価償却費18億円を上回る20億円の設備投資を見込んでおり、引き続き高水準の投資が続きます。

 

財務の状況については、自己資本比率が56.9%と高位を維持しているため、当面は資金調達がないものと考えています。株主還元については、配当性向20%~30%を還元ポリシーとしており、配当金は据置となる年12円を予定しています。なお当社は日油株約36億円のほか、有価証券を約90億円も保有しており、企業規模に比して明らかに過大な政策保有株式量のため、この辺の処分と株主還元等の有効活用に期待したいところではあります。

 

*参考記事① 2018-09-13  929円 NT

リチウムイオン電池評価伸び、減額後中計は走破圏か・カーリットホールディングス(4275)。

*参考記事② 2017-07-20 624円 NT

中計減額修正で展開力不足が目立つ、カーリットホールディングス(4725)。
 

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