【2882】イートアンドホールディングス/渡良瀬の第三工場建設で冷食事業は更に厚み。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2882】イートアンドホールディングス(東証1部)  NT


現在値  1,903円/100株  P/E 96.6  P/B 2.72  2月優待 8月優待

外食チェーンと冷凍食品製造の2軸。いずれも「大阪王将」ブランドが柱。
配当基準日は2月、8月の年2回合計10円のため、配当利回りは0.53%となります。

イートアンドホールディングスは株主優待として、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対して合計5,000円相当の食事券、自社製品等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.15%となります。

業績を確認していきます。  

■2018年3月期 売上高 281億円、営業利益 7.7億円、EPS 24.3円   

■2019年3月期 売上高 291億円、営業利益 8.3億円、EPS 34.6円   

■2020年3月期 売上高 306億円、営業利益 8.1億円、EPS 33.6円 

■2021年2月変 売上高 259億円、営業利益 2.6億円、EPS▲19.9円(4/13) 11m

■2022年2月期 売上高 317億円、営業利益 8.0億円、EPS 19.6円 ce  
□2021年8月中 売上高 148億円、営業利益 3.0億円、EPS 4.9円 ce 

2021年2月期は変則11ヵ月間となるため前期との百分率比較は出来ないものの、売上高は前期比43億円減の259億円、営業利益は同5.5億円減の2.6億円となり、減収減益となったものの中間時点の見通し比では上振れて着地しました。冷食事業については、新型肺炎禍の中食・内食事業の拡大により順調に推移し、大阪王将銘の「たれ付き肉焼売」「小籠包」といった新製品の投入にくわえ、TVタイアップ番組への積極的な宣伝広告費投入も奏功し、11ヵ月決算ながら増益を果たしました。他方、外食事業については、賃料負担の高い繁華街立地店舗を中心に採算性が大きくする結果となり、テイクアウトやデリバリーに注力したものの大幅赤字に転落し、食品事業の足を引っ張る形で全社業績を押し下げました。

 

12ヶ月決算に復帰する進行中の2022年2月期の通期予算については、売上高はの58億円増の317億円、営業利益は5.4億円減の8.0億円を予想しています。冷食事業については、本年1月に製造ラインを増強した渡良瀬の関東第二工場の稼働向上が見込まれるほか、引き続きオンライン販促などの積極的な宣伝広告を打つ方針であり、生産能力拡大に合わせた拡大策を採ります。外食事業についても、住宅後背地を中心に純増30店と出店ピッチを上げる方針であり、併せて阿佐ヶ谷に新設したセントラルキッチンの活用により家賃や人件費の高い都心店舗の高効率化も図ります。全社ベースでは冷食の構成比増加により、経営安定感が増すことから、公表予算については達成可能にあるものと考えています。

 

当社は中長期的な業績目標を開示しておりませんが、当面は利益柱の冷食事業を核としたオーガニックな成長を企図しているものとみられます。4.6億円を投じた関東第二工場の増強により、生産能力は130万→280万パックに増加し、全社ベースでの生産量は直近8年で年10%強のペースで順調に成長しております。また、去る6月22日にはAIやロボットを活用した関東第三工場(事業費24億円)の着工をリリースし、更に生産量の上積みを図る計画であり、今後はこうしたスケール化により昨今のTVタイアップを中心とした広告効果の増大が期待されます。

 

外食事業については、従前は大阪では20%台、東京圏は10%台だった持ち帰り比率が新型肺炎禍では5割を超えることになったことから、それを前提とした出店を進めています。足許では最寄駅乗降客数2~3万人の住宅地であっても、外食並の持ち帰り単価のこなせる世田谷エリアを中心に商店街出店を進めており、直近出店の尾山台、祖師谷大蔵、用賀、浜田山ではいずれも好調な数字を叩き出しています。また、今後は製販一体型事業の強みを生かして、新型肺炎禍で立ち行かなくなった(客単価の低い)外食企業を買収し、当社工場やセントラルキッチンを活用したマーチャンダイジングでコスト削減を軸とした再建等も志向しているようです。

 

財務については、2018年に関東工場新設のために公募増資で23億円を調達しているほか、新型肺炎禍においても冷食事業による下支えにより最終黒字を確保したため、自己資本比率も3割台半ばをキープしています。そのため、配当については横ばいの年10円を予想しており、これは配当性向30%&DOE1.4%程のためごく穏当なものと解されます。

 

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