【6789】ローランド ディー.ジー.(東証一部) OP
現在値 1,730円/100株 P/E 14.3 P/B 0.87 12月配当株主優待 6月配当
広告・看板用インクジェットプリンタで世界首位級。筆頭株主がローランド親会社ファンド。
配当は年間40円のため、配当利回りは約2.31%となります。
ローランド ディー.ジー.は株主優待制度を導入しており、1年以上保有継続する12月末単元株主に対して、3,000円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.04%となります。
業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 435億円、営業利益 38.5億円、EPS 153円
■2018年12月期 売上高 427億円、営業利益 42.5億円、EPS 229円
■2019年12月期 売上高 407億円、営業利益 27.9億円、EPS 155円
■2020年12月期 売上高 347億円、営業利益 5.0億円、EPS 20.2円
■2021年12月期 売上高 415億円、営業利益 29.0億円、EPS 120円 ce
□2021年6月2Q 売上高 197億円、営業利益 11.0億円、EPS 32円 ce
2020年12月期の売上高は前期比14.7%減の347億円、営業利益は同82.1%減の5.0億円となり、期初予想を大きく下回って減収減益となったものの、3Q時点の修正予算に対しては上振れました。製品別では主力のプリンターが新型肺炎禍にともなう出力減少により、サイン・小売ともに減少したほか、連れてインク等のサプライ品も後退しました。同様に工作機器も減少したものの、歯科向けのみ底堅い動きとなりました。地域別では新型肺炎禍の影響が大きいアジアが軒並み減少したほか、北欧も構成比の大きいイタリア、スペインでのロックダウンが響いて大幅減となりました。
進行期である2021年12月期通期の予算については、売上高が19.3%増の415億円、営業利益は5.8倍の29.0億円を予想しています。新型肺炎禍の一巡により、プリンター、工作機器、サプライといった主要製品の全カテゴリーで回復を見込んでおり、特に新型肺炎の注意喚起用の床表示向けの特需が見込まれます。地域別でも2020年に特に不調だったアジアが巻き返す見通しであり、量産機能についてもタイ王国への完全移管を目標としています。なお、営業外で希望退職費用を10億円程見込んでおり、実際には150人の想定数に対して190人の応募があったものの、増分にかかる人件費減でネットされて期初予算織り込みどおりとなる模様です。
終わった2020年12月期は5年中計の最終年度であり、当初は売上高470→760億円(後に460億円に減額)、営業利益53→100億円(後に45億円に減額)を目指すこととしていましたが、結局減額後の数字にも大きく未達という格好で終わっています。今般新たに策定した新3年中計においては、売上高を348→480億円、営業利益を5→60億円にそれぞれ伸長させる計画を置きなおすとともに、その他経営指標としてROEを1.0→15%、新規事業による売上高100億円を設定しています。
中計の柱はリストラ策となっており、既述のとおり今年は大規模な人員削減を実施しているほか、タイ王国への生産拠点とサプライチェーンの完全移管、海外地域子会社の再編等により、年間20億円程度の固定費削減を見込んでいます(うち人員削減は既に10億円分のコスト削減が翌期以降顕在化することがほぼ確定している)。他施策については、主力のプリンターにおいて主力商材であるソルベントインクが顧客の環境志向の高まりでリプレイスされてしまっていることから、非ソルベント剤への誘導を進めるほか、市場が拡大している歯科分野の入歯(デンチャー)やインプラント用支台等の成長領域の拡大を急ぎます。かような取組から、リストラのみ蓋然性が高いものの、営業利益60億円はかなりハードルが高い印象であり、現時点では新中計の達成可能性は極めて低いものと判断しています。
なお財務状況については、ネットキャッシュ110億円と盤石な状況となっており、自己資本比率も68.1%と極めて高い状況となっています。株主還元については、本中計期間において配当性向30%ないしはDOE2.0%のいずれか高い方としているため、業績の如何によらず公表されている年40円の配当については守られる見通しです。
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