【4058】トヨクモ/サイボウズのkintone連携が好伸、高いトップライン成長続く公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4058】トヨクモ(東証一部)  BY

現在値 2,141円/100株 P/E 103.3  P/B 18.5  12月配当 株主優待なし

クラウド活用の安否確認とサイボウズ社キントーン連携の業務アプリ構築サービス。

 

配当予想(初配)は年間5円のため、配当利回りは約0.23%となります。
トヨクモは株主優待制度を導入していません。


業績を確認していきます。当社は昨年9月のIPO銘柄です。

■2018年12月期 売上高 4.8億円、営業利益 1.3億円、EPS 10.7円 

■2019年12月期 売上高 7.6億円、営業利益 0.9億円、EPS 8.2円  

■2020年12月期 売上高 10.9億円、営業利益 2.4億円、EPS 15.7円   

■2021年12月期 売上高 14.3億円、営業利益 3.1億円、EPS 20.7円 ce  

□2021年6月2Q 売上高 6.5億円、営業利益 1.7億円、EPS 9.9円 四e   

2020年12月期の売上高は前期比43.9%増の10.9億円、営業利益は同2.5倍の2.4億円となり、大幅な増収増益となったほか、9月公表時予算も上回って着地しました。安否確認サービスは通常は災害時の活用が前提であるものの、新型肺炎禍のようなパンデミック時の情報共有ツールとしての活用認知が進み、有償契約数は同544件増の2,035件に拡大しました。また、サイボウズ社の提供するkintone連携サービスについても、新型肺炎禍によるリモート勤務の拡大により、官公庁を中心にDX需要が高まったことから、有償契約数は同1,256件増の4,254件と特に好調に推移しました。


進行期である2021年12月期通期の予算については、売上高が30.5%増の14.3億円、営業利益は26.0%増の3.1億円を予想しています。安否確認サービス、kintone連携サービスともに新型肺炎禍の影響はなく(むしろ追い風)、企業や官公庁からの新規契約数の積み上げが順調に推移するものとみられます。トップラインから段階から3割増を見込んでいますが、会社側では「保守的な想定」としており、実際に既に3月分まで開示されている月次売上高によれば、前年比で概ね4割を超える好調な水準で推移しています。なお、3月にJR東急目黒ビルへの本社移転が公表されており、コスト増の一部(40百万円)は織り込まれているものの、追加費用発生の可能性があります。
 

当社は中長期的な業績目標を開示していないものの、2015年~2020年までの売上高CAGRは55.8%と極めて高い成長モメンタムとなっており、2021年の足許時点おいても40%を超える売上高成長率を保持しています。これは規約によりダウンセルが発生しないように縛っているほか、解約率も0.8%と非常に低い水準をキープ出来ていることが要因です。当社が提供する安否確認サービスは後発であり、競合が10社程度も存在するものの(1位はセコム、2位はNTTコム、当社が3位)、出身母体であるサイボウズのkintoneが既に全世界で15,000社以上の導入されていることから、その連携による導入が当社のアドバンテージとなっており、解約率が低い一因とみられます。

 

同様にkintone連携サービスも、サイボウズの“小判鮫”方式での伸長が期待されます。具体的な昨年の導入事例としては、大阪府の新型肺炎対応管理のように地方公共団体が府・市職員と保健所職員との間で既契約のkintoneを通じて機密情報の情報共有化を図る一方、当社が提供する拡張機能の導入により、患者本人にはkintoneの症状回答・閲覧機能だけ限定的に権限付与することで、一括システム連携するといった高付加価値サービスの創出が出来ています。実際に競合の激しい安否確認は年2.7億円(予想)の広告費の大半を投じてTVCMを垂れ流していますが、kintone連携の方は殆ど広告費を使わずに伸びている状況です。

 

財務状況については、昨年9月のIPO時に5.5億円(@1,000円)を調達しており、無借金かつ自己資本比率は67.9%と高水準を保持しています。ビジネスモデルとしてそれほど資金需要がないことから、配当性向20%をメドとした初配公表に踏み切っており、年間配当は5円を予想しています。IPOで資金調達して間もない高成長SaaS企業が、上場半年も経たずに初配とするのは異例かと思われますが、それだけ足許の状況に手応えを持っているものと解されます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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