今週30年半振りに日経平均株価が節目の3万円を突破しました。心理的にも大きな節目ですので、世の中的にはある程度ニュースになっていますが、個人的にはそれ自体にあまり意味はないと思っています。というものも、本邦独自の個別要素というよりは、世界的なカネ余りの中で世界中の株式市場が高騰する中で、“他律的”に騰がってきただけの要素が強いからです。
ボラティリティが大きい目下のマクロの市場動向を読むのは、個別株の先行きを占うことより遥かに難しいわけですが、少なくとも各種景気指標の改善や、失業者数の減少等が明確に見られるまでは金融緩和を途中で止めるのは困難と考えられますし、足許で金利がまた上昇しているといっても200bp.すらまだ遠い水準ですので、金利がブレーキになるかどうかを議論するのも早いような印象です。
また、ワクチン接種の進捗についても追い風要素となり、世界が正常化するまではその期待感による高PER許容でバリュエーションが高止まりし続ける公算が高いと思います(逆に早期の正常化が見えた場合は、出尽くし調整シナリオを意識する必要が出てくる)。
一方、リスク要因としては、たとえばウイルスの変異種が発生して追加の対応が必要になった場合等が考えられますが、その場合は更なる金融緩和や財政出動といった目も出てくるので、それによる株安シナリオも想定しずらいのかなと思います。あと考えられるリスクは、3万円乗せにより、年度末を意識した国内事業法人や、満足した個人投資家が売りを出しやすい状況になっている点であり、それらを外人買いでこなすことが出来れば一段高もありえるのかなと思います。
というわけで、日経平均3万円は何となくキリの良い数字ですが、逆に言うとキリの良さ以上の意味はなく、変に意味を持たせてしまうと判断を見誤ってしまうのかなと思いました。20年前ならいざ知らず、世界のありとあらゆる金融商品(コモディティや暗号通貨の類も含む)の価格連動性は強まっているので、そういう観点も考慮した方がいいのかなと思います。
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