【1446】キャンディル(東証一部) NT
現在値 538円/100株 PER38.8 PBR1.70 9月配当株主優待 3月配当
住宅や商業施設の補修会社。住宅大手と親密。ホテル等の改修、家具取り付けも。
配当金は9月末・3月末合計6円配のため、配当利回りは1.12%となります。
キャンディルは株主優待制度を導入しており、9月末に2単元を保有する株主に対して、3,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、2単元保有時の配当優待利回りは約3.90%となります。
業績を確認していきます。
■2017年9月期 売上高 119億円、営業利益 3.3億円 EPS 11.7円
■2018年9月期 売上高 122億円、営業利益 4.0億円 EPS 17.7円
■2019年9月期 売上高 131億円、営業利益 4.6億円 EPS 24.3円
■2020年9月期 売上高 122億円、営業利益 4.2億円 EPS 18.5円
■2021年9月期 売上高 128億円、営業利益 3.6億円 EPS 14.1円 ce
□2021年3月2Q 売上高 69.0億円、営業利益 2.7億円 EPS 13.1円 四e
2020年9月期の売上高は前期比6.9%減の122億円、営業利益は同9.3%減の4.2億円となり、期中は業績予想を未定としていたものの、期初の開示予想比ではショートし、8月開示の落着見通し並みの数字で着地となりました。全てのセグメントで新型肺炎禍の影響を受け、主力のリペア事業については営業活動の縮小を迫られたほか、商環境向け事業もホテル案件の延期や工事中止の影響を受けて受注件数が減少しました。一方、住宅アフター工事がメインとなるを住環境向け事業については、感染防止観点から延期となる案件が多かったものの、緊急事態宣言後は延期案件の消化が順調に進んだため比較的堅調に推移しました。
進行期である2021年9月期の予算に関しては、売上高が4.4%増の128億円、営業利益は12.4%減となる3.6億円と続落を予想しています。引き続き新型肺炎の影響を受ける前提で予算組みしており、リペア事業については一部の営業自粛を見込むほか、実績期で堅調だった住環境向け事業についても、主力取引先である一建設や旭化成ホームズ、タクトホームといった戸建メーカー向けが好調な一方で、住友不動産といったマンションデべ向けが軟調に推移する見通しです。また、小環境向け事業についても、引き続き商業施設やホテル案件の延期・中止の影響を色濃く受ける見通しです。なお、トップラインが伸びているのに減益となるのは、抗ウイルス抗菌事業で先行投資を実施するすることに由ります。
当社は2018年10月のマザーズIPO企業であり、2019年12月にははや東証一部市場に指定替えを果たしています。事業としては三本柱となっており、リペア事業が新築建物の引渡前小修繕工事(いわゆる“ダメ検”の対応)、住環境向け事業は引き渡しn年後のアフター定期点検および小修繕対応、商業施設向け事業は内装工事にくわえて、例えばイケアからは家具組み立てサービスまでを国内全店舗で受注するなどしています。全般的に小修繕に特化することにより、発注元のハウスメーカーやディベロッパーが自前で抱えるリフォーム部門と競合しないように配慮されています。
マザーズ上場時点の成長可能性説明資料には中長期的な業績目標は示されていないものの、定性的な成長戦略としては、①リペア事業の売り先拡大(民泊、仲介会社、リノベ転売会社等)、②周辺事業の拡充(独自の住設機器延長保証、戸建管理、民泊支援等)を掲げており、新型肺炎以降については、新たに③抗ウイルス抗菌事業や、④FC事業の促進を追加しています。特に③については、新型肺炎禍をビジネスチャンスにこれまでの住宅・商業といった当社顧客層の枠を超えて、鉄道や保育/教育、医療/介護といった他業界に売り込む方針であり、この一年はその体制構築のための先行投資の一年という位置付けとなります。
財務面に関しては、IPO時の公募増資(分割修正後40万株@590円)を実施し、2.3億円を調達しており、目下の自己資本比率は40.4%となっていますが、これまでMAを繰り返して業容を拡大してきたことから、未償却のれんがBSに27億円も残っている点は注意事項です。また、昨年3月に筆頭株主の新生クレアシオン(新生企業投資、クレアシオンパートナーズ)がイグジットのために300万株もの大規模な追加売り出しを試みましたが、新型肺炎禍による市場急変で取りやめた経緯があります。そのため、この存在が重石となっていることは間違いなく、当面は株価的な浮上は難しいかもしれません。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。