【3292】イオンリート投資法人/現時点では固定賃料を堅持、多額の減価償却費活用で外部成長期待。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_0113.jpg

【3292】イオンリート投資法人(東証REIT) OP

現在値 122,300円/1株 PER19.4 PBR1.08 1月分配 7月分配 投資主優待なし

イオングループをスポンサーとし、9割超が商業施設。海外物件(マレーシア)も保有。
予想分配金は年2回の合計6,365円配のため、予想分配金利回りは約5.20%となります。

業績を確認していきます。 

■2019年1月期_第12期 営業収益 163億円、経常利益 54.4億円 DPU 3,066円 

■2019年7月期_第13期 営業収益 163億円、経常利益 54.1億円 DPU 3,047円

■2020年1月期_第14期 営業収益 168億円、経常利益 58.0億円 DPU 3,074円

■2020年7月期_第15期 営業収益 175億円、経常利益 59.5億円 DPU 3,174円(9/14)

□2021年1月期_第16期 営業収益 176億円、経常利益 59.5億円 DPU 3,175円ce(10/14)

□2021年7月期_第17期 営業収益 177億円、経常利益 59.8億円 DPU 3,190円ce(10/14)

 

2020年7月期_第15期の営業収益は、第14期比4.0%増の175億円、経常利益は同2.7%増の59.5億円と予算を若干上振れて着地し、分配金についても当初予想の3,125円から3,178円へ53円上振れて着地しました。トップラインについては、2月上旬に取得した「多摩平の森」がほぼフル寄与したほか、「福津」の通期寄与により増収となりました。新型肺炎の本格化により、33物件(全37物件)が約50日間のモール休館を強いられたものの、マスターリース賃料については減額なく契約通りの賃料を収受することが出来たほか、原価についても修繕費やIR費用の未消化により良化したため、結果的に対予算ベースでも増益を確保しています。


進行中の2021年7月期_第16期予算については、営業収益が第15期比0.6%増となる176億円、経常利益が同変わらずの59.5億円をそれぞれ見込んでおり、分配金については同3円減の3,175円を予想しています。当初は一過性の保険料収入剥落を除いて、既存物件が全て横引きとなる前提でしたが、この10月15日に「上田」を55億円/鑑定NOI6.8%で取得したため、期中に表記の数字に増額修正をしています。原価については、新型肺炎禍で見送ったと思われるIR関連費用の復元や、借換に伴うものとみられるコスト増が見込んでいるため、「上田」の取得をもってなお減益となるため、予想上の分配金は微減予想という形になります。

 

また今回初めて開示された2022年1月期_第17期予算については、営業収益・経常利益ともに第16期予想比0.5%増の177億円・経常利益は同0.5%増の59.8億円をそれぞれ見込んでおり、分配金については同15円増の3,190円を予想しています。昨年取得の「多摩平の森」の固都税費用化開始が大きな減益要素となるものの、第16期取得の「上田」の通期稼働効果や、借換関連費用の剥落により、最終的には増益を見込んでいます。

 

当法人は昨年8月の5th_POで124億円(@133,477円)を調達し、「福津」を180億円/鑑定NOI5.7%、「多摩平の森」を96億円/鑑定NOI5.6%で取得し、資産規模4,000億円を伺う水準までに達しています。イオングループ各社からのパイプラインも2,600億円程存するものの、現状の株価水準はNAV割れしており、インプライド・キャップレートも6%前半とみられることから、POによる外部成長は難しいと考えられます。その一方、当法人はJ-REIT屈指の水準である年間減価償却費80億円弱を叩き出しており、今次取得の「上田」のように手許現金をフルに活かして取得することも可能であるため、中期的なターゲットである分配金3,300円水準は達成可能にあるものと考えています。

 

リスク要因としては、MLであるイオンモールからの減賃要請であり、ダイレクトな利害関係者であることから現時点では契約通りの賃料の支払いがなされているものの、新型肺炎禍の深刻化の如何によっては影響が出る可能性もゼロではないかと思われます(現時点において当法人側は契約通りの賃料を収受出来る見通しである旨を示している)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村