【3611】マツオカコーポレーション(東証1部) OP
現在値 2,160円/100株 PER10.8 PBR0.94 3月配当 株主優待あり
アパレルOEM大手。中国、ミャンマー、バングラディシュ、ベトナムで生産。欧州SPA開拓。
配当は3月一括の40円配当を予想しているため、配当利回りは約1.85%となります。
なおマツオカコーポレーションは株主優待制度を導入しておりません。
業績を確認していきます。 当社は昨年12月のIPO企業です。
■2018年3月期 売上高 578億円、経常利益 35.2億円 EPS 246円
■2019年3月期 売上高 634億円、経常利益 32.4億円 EPS 339円
■2020年3月期 売上高 571億円、経常利益 25.2億円 EPS 117円
■2021年3月期 売上高 490億円、経常利益 21.0億円 EPS 199円 ce
□2020年6月1Q 売上高 165億円、経常利益 17.9億円 EPS 133円(8/12)
□2020年9月2Q 売上高 225億円、経常利益 11.0億円 EPS 74.7円 四e
2020年3月期の売上高は前期比9.9%減の571億円、経常利益は同22.3%減の25.2億円となり、増収増益を予想していた期初予算から一転して、2割超の減益となりました。アパレル業界全般向けについては、天候不順による在庫調整影響により全品目において受注が低調に推移したことにくわえ、大得意先である大手SPA(要はユニクロ)向けについても下期からカジュアルウェアが持ち直すなどしたものの、全般低調だった上期のビハインドを取り戻すことが出来ませんでした。また利益面については、新型肺炎絡みで取引先への貸倒引当金を積んだほか、営業外でも海外取引工場向けに貸付金の貸倒を積んだこともあり、トップラインの減少も相俟って減益となっています。
進行期である2021年3月期の予算については、1Qまでに開示されており、売上高が14.2%減の490億円、経常利益は16.8%減の21億と続落を予想しています。新型肺炎禍による外出自粛ムードにより、ユニクロをはじめとするアパレル/SPAからの受注が低迷しており、3月末時点の期末受注残高も1年前と比べて約34%少ない145億円に留まっています。他方、8月12日に開示された1Qについては、売上高が前年同期比20%増の165億円、経常利益が同3.1倍の17.9億円という極めて高進捗をマークしていますが、これは所謂“アベノマスク(※後述)”受注による一過性売上の計上によるものであり、2Q以降は剥落するものの、通期予算達成の蓋然性が多少上昇したものとみています。
当社はこの2021年3月期を最終年度とする3年中計で、売上高は578→800億円(CAGR11%)、経常利益は35→55億円(CAGR16%)を定量目標に掲げていましたが、今般この経常利益目標を21億円としたため、計画当初の利益水準も下回る見通しとなりました。既述のとおり、新型肺炎禍でアパレル業界全体で新規需要が蒸発していることにくわえ、当社が生産拠点を構えるASEAN各国については工場の操業停止を余儀なくされるケースもあり、事業環境が著しく悪化しています。幸いにもこの1Qには、伊藤忠商事や興和らとともに政府より“アベノマスク”51億円分を受注したため、新型肺炎禍の深刻な時期の操業度低下を避けることが出来たものの、恒久的な受注ではなく一時しのぎに過ぎません。
2017年12月の上場時には約31億円(@2,600円)を調達し、ベトナム工場の建替・増設資金に投じていますが、足許では新型肺炎対策として、感染防護服生産拠点工場をベトナム・アンナムに建設しており、来年~再来年に稼働させる計画です(カジュアルウェアの生産も可能)。経産省の調達元多元化支援事業も活用し、生産拠点が偏重している中国から、こうしたベトナムやバングラディシュ、インドネシアに分散させていく方針であり、本年3月にはタイ4大財閥のサハ・グループと業務提携し、ミャンマーやベトナム等の工場で同社からの縫製受注を獲得するなど、生産拠点の増強だけでなく販路の拡大にも注力しています。
当社はユニクロの親密先であり(ファストリは当社6位株主であり2.8%持分を保有)、世界企業である同社が成長を続ける限りにおいて、ある意味で“成長が約束された”会社でしたが、新型肺炎禍でその前提が揺らいでいる状況です。然しながら、当社縫製製品はファッション性よりもカジュアル系の基礎的品目が多く、人類の被服文化が廃れない限りは相対的に持ち堪える可能性が高いと考えています。なお、配当金については据置となる年40円を予想していますが、自己資本比率が5割を超え、財務基盤が安定しているため、此方については業績によらず減配なく配当されるものとみています。
*参考記事① 2018-07-04 3,465円 OP
ユニクロ向けが売上の7割、新規上場・マツオカコーポレーション(3611)。
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