【3559】ピーバンドットコム(東証1部) BY
現在値 825円/100株 PER21.2 PBR3.30 3月配当 株主優待あり
サイト「P板.com」を運営。試作用プリント基板製造受託。見積、注文をネットで完結。
配当実績は年5円のため、配当利回りは0.60%となります。
ピーバンドットコムは株主優待制度を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対し、3,000円分のクオカードを進呈しておりますので、想定の配当優待利回りは約4.24%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 18.3億円、経常利益 2.2億円 EPS 38.8円
■2018年3月期 売上高 19.9億円、経常利益 2.9億円 EPS 50.6円
■2019年3月期 売上高 21.0億円、経常利益 3.0億円 EPS 53.4円
■2020年3月期 売上高 21.3億円、経常利益 2.3億円 EPS 25.0円
■2021年3月期 売上高 21.7億円、経常利益 2.5億円 EPS 39.0円
□2018年9月中 売上高 10.2億円、経常利益 1.3億円 EPS 19.0円 四e
2020年3月期の売上高は前期比1.3%増の21.3億円、経常利益は同22.7%減の2.3億円となり、期初から減益を予想していたものの、その予算を下回って着地しました。新規会員が前期比16.3%増の4,684名と大幅に伸長したほか、EMS事業での受注もあってトップラインは続伸したものの、新規会員獲得のためのリスティング等の広告費の増加や、地方展示会への積極出展等により想定より原価が増加しました。また株主優待費用と、(営業外ながらも)東証一部への指定替え費用にそれぞれ2千万円を要しており、これらが利益を押し下げました。
進行期である2021年3月期の予算については、期初段階から開示しており、売上高は1.9%増の21.7億円、経常利益は10.2%増の2.5億円を予想しています。当社は元よりweb経由で受注しているため、新型肺炎による営業面での影響はほぼ皆無であるほか、IoTや5G、医療、ロボットといった分野でプリント基板の需要は増加しており、事業環境自体は非常に良好であることから続伸が見込まれます。利益面については、EMS事業強化のためにSEの採用を加速させるものの、実績期に計上した一過性費用の剥落等により2桁の増益を見込んでいます。
当社は中長期的な業績目標として、年限の定めは無いものの「売上高2桁成長&経常利益率15%」を掲げています。プリント基板の国内市場は6,500億円あり、うち当社がドメインとする1ロット数千台以下の少量ロット分野に限っても1,500億円あるため、現状では市場全体のEC化率がほぼゼロ近傍であることを鑑みると、1.3%(少量ロット分野の内数)に過ぎない市場シェアを拡大する余地が大きく残されています。ただ会員数は着実に増加しているものの、認知度の上昇ペースは遅く、会社側の目指す年率2桁成長が遠いことから、仮にこのペースを加速させる場合は更なる広告費の積み増しが必要になると考えられます。そのため、表記の中長期目標の画を見通すのは現時点では時期尚早とみられます。
また、受発注システム効率化を志向し、2018年に深圳にあるSwissmicSAという中華系のシステム開発企業と資本業務提携を結んで開発を進めていたものの、同社が経営に行き詰って開発困難になったことから減損計上を余儀なくされています。一方、こうしたオーガニック成長以外の取組としては、昨年IT機器製造を手掛けるジェネシスホールディングスと業務提携を結び、受託生産体制を整えてEMS事業に進出しており、これにより試作品から完成品までのフルラインサポートを可能にするなどしていますが、こちらもまだ体制構築・整備段階といった状況です。
なお財務の状況については盤石な状態をキープしており、無借金で現金を10億円弱保有しており、自己資本比率も8割弱の水準となっています。かような状況のため、足許では1億円(2.2%)の自社株買いを実施する余裕もあり、配当予想も現時点では未定となっているものの「年5円+α円」、で配当されるものと考えています。
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