【8181】東天紅(東証一部) NT
現在値 981円/100株 PER--.- PBR0.25 2月優待配当 8月優待
中華レストラン『東天紅』を全国の主要都市に展開。宴会依存度高い。上野本店で婚礼注力。
配当基準日は2月末・8月末の年2回ですが、配当予想は未定となっています。
東天紅は単元株を保有する株主に対し、2月末・8月末の2回・20%食事割引券を各4枚進呈しています。なお、0.5単元(端株)保有であっても各2枚進呈されます。
業績を確認していきます。
■2017年2月期 売上高 67.1億円、営業利益 ▲1.5億円 EPS 1.5円
■2018年2月期 売上高 68.2億円、営業利益 0.4億円 EPS 8.9円
■2019年2月期 売上高 69.5億円、営業利益 0.1億円 EPS 11.0円
■2020年2月期 売上高 67.7億円、営業利益 ▲0.5億円 EPS▲92.8円(4/20)
■2021年2月期 売上高 (未定)億円、営業利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce
2020年2月期の売上高は前期比2.5%減の67.7億円、営業利益は同赤転の▲0.5億円となり、増収増益を見込んでいた期初予想を下回って減収減益となりました。婚礼事業の「LUCIS」においては、「海燕亭」上野店の改装し、飲食・婚礼のマルチユーズ化を図ったほか、飲食事業についても昨年6月にメニュー刷新を実施することで、中間時点までは概ね計画線を確保していました。然しながら、昨年秋口の台風15号・19号の影響をはじめとした天候不順により宴会や婚礼がキャンセルとなったほか、年明けは新型肺炎による影響を受け、一気に赤字圏にまで転落することとなりました。
進行期である2021年2月期の予算については、新型肺炎の影響により合理的な算定が出来ないことから、未定としています。当社は4月8日から5月下旬までは首都圏店舗を中心に全面休業としていたほか、元より月次売上高も公表していないので、1Q決算までは足許の状況が判明しないことになります。当社の場合、他の外食事業者より婚礼・宴会・法事等といった目的型の大人数バンケット利用が多く、少人数での利用割合が少ないことから、“密”の状態が忌避される今次の新型肺炎のマイナス影響をモロに受けやすく、構造的にも苦しい状況であると判断されます。そのため、比較的豊富な不動産賃貸収入による若干の下支えがあるものの、その程度では“焼け石に水”であり、通期で大赤字に沈む公算が高いとみられます。
当社における最大の投資論点は、不動産資産であり、2015年に隣地に建て替えた上野・不忍池畔の新本店は敷地面積640坪(坪@4,300万円)、建物価格と合わせた評価額は実に61億円にのぼります。既に東京建物(8804)に売却した旧本店跡地については、2019年3月に「Brillia Tower上野池之端」という総戸数361戸のタワーマンションに生まれ変わっていますが、当社は等価交換によりうち30戸を取得し、全て賃貸に供して賃料収入を得ています。そのほか、有報上では包括記載のため詳細がわからないものの、2019年には清瀬でも収益不動産を取得しており、(建替等による含み益の顕在化で)粗方時価評価に置き換わってしまっているとみられるものの、期末時点で100億円程の不動産資産を有しています。
またそのように豊富な不動産資産を有しているわりに、有利子負債は長短合わせて10億円程度のため、自己資本比率は外食企業としては異例の8割弱を維持しており、盤石の財務体質を誇っています(期末時点のBPSは3,896円)。そのため、新型肺炎により当面に渡って宴会需要が蒸発しても十分耐えられるだけの体力があり、もし資金繰り等の都合が生じた場合でも、前述の「Brillia Tower上野池之端」が基本的に“億ション”であるため、換金性の高いこれらのバラ売りで易々凌げるものと考えています。
なお、上述の理由から財務体質は安定しているものの、手元の運転資金には限りがあるため、今期の配当予想を未定としていますが、ほぼ確実に無配になるものとみています。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。