基本的にアベノミクスのような相場では、なんとなく右肩上がりとなるので、言葉を選ばずに言えば恐れを知らない初心者の方ほど儲かる相場です。市況の良い時は成長企業のバリュエーションが特に出やすくなるので、中小型株の株価はいとも簡単に整数倍になったりしますし、調子にのって信用建玉を増やせば増やすだけ儲かります。また、なんとなく高値掴みしてもいずれ助かるので、とにかく自分の実力を過信しやすくなります。ただその結果として、今回のような新型肺炎ショックを満玉(フルポジ)ないしそれに近い状態で迎えることとなり、大きくドローダウンを食らって重傷もしくは退場・・・というまでが定型であり、相場においては太古の昔からよく見られる光景です。
実にあまりに当たり前の話ですが、相場は上げ相場と下げ相場でワンセットです。アベノミクスはで7年にも渡る空前の長期上げ相場が続いてしまったので、この辺の感覚が麻痺してしまいがちですが、私の18年ほどの投資経験の中では下げ相場の方が全然多いイメージで、皆様よくご存じのとおり、株の記憶といえば大体が酷い目にあったことばかりです。
冒頭にも記しましたが、上げ相場は簡単で、なんとなく業績がよさげで、なんとなく成長しそうな株を買っておけば普通にお金が増えていきますが、勿論下げ相場ではそんなことはありません。下げ相場で大事なのは、上げ相場で増やしたお金を守ることであり、全くルールが違います。全部ないし一部を現金にしてしまえば世話のない話なのですが、いかんせん上げ相場の高値がまだ脳裏にこびりついているため(これを“高値覚え”と言う)、安易な目先の安値でリバ取りしようとしまいます。また、取り返そうという気持ちが働くと信用のレバを増やしたり、いつもより値動きの激しい株を選んだりするようになっていき、いつの間にか自分の不得意な領域や時間軸の投資に足を突っ込んでしまったりもします。
私が考えるに下げ相場で最も重要なのはメンタルコントロールです。リバ取りに失敗したり、余計なレバを掛けたり、追加入金して必要以上にやられたら、その場でアツくならずに、日記に書くなり、ブログに書くなり、瞑想でもするなりしてやらかしてしまった失敗をしっかり反省した方が良いです。アツくなったままだと、下げ相場でひたすら同じことを繰り返して、底なし沼に足を突っ込むようにただひたすらお金が溶けていきます。そしてしっかり反省が出来るようになると、余計なことをせずに冷静さを取り戻せるようになります。そうすると目を覆いたくなるような焼野原のような相場でも、上がっている株や妙に値持ちしている株など、下げ相場の中に生じる大きな歪みが見えてくるようになり、その歪みの中でポジションを調整することで、ダメージを減らすことが出来るようになります。先ずは自分の冷静さを保つことが、下げ相場を生き残るコツとなります。