週明けの暴落局面で久々に「板が無くなる」銘柄を見て、またリーマンショックの記憶が走馬灯のように駆け巡りました。
リーマン当時の私は個人投資家が好みの新興市場の小型成長株ばかり弄っていて、「信用取引2階建て上等&維持率も40%」といった具合のハイロール売買をしていました。そしてそうした小型株はリーマンショックにおける信用収縮・貸し剥しの局面では“淘汰の本命”となり、震源地である不動産銘柄であるか否かにかかわらず、換金売りのために毎日無慈悲に叩き売られていきました。そういう銘柄の買い板は日に日に無くなっていき、仕舞いにはストップ安比例配分に並んで売ることすらも許されない状況となり、そういう日が何日も続いたりしました。そして本当の末期の頃になると、あまりに売買が成立しない状況となるので、捨て値なら売っても仕方ないという判断なのか、売り板を出してもどうせ約定するわけないので売却そのものを諦めたのか、ある日突然買い板どころか売り板もきれいさっぱり消えることがあり、「あれっ、板が何も出て無いけどまだ8時前だっけ?」などと見紛うこともありましたが、さすがにそこまで行きつくと呆れて笑ってしまったのを覚えています。
そして冒頭に記載のとおり、当時の私は小型株を信用満玉で抱えていたので、しばらくは給料口座から追証を何度も追加差入して凌いでいましたが、リーマンショックの魔の手からは逃れられず、最終的には建玉をぶつけられる買い板が何枚か出てくるのを待ち、びっくりするような捨て値での決済を余儀なくされました。あまり良い例えではないかもしれませんが、自らの過ちを認めて覚悟を決めて潔く切腹したのに、なかなか介錯してもらえず、死ぬにも死にきれない状態で悶え苦しんでいるような感じでした。マクロ環境は仕方ないにしても、信用でレバをかけていたのは完全に自業自得なわけですが、本当にこの世の地獄を味わった気分でした。
ただ、そんな地獄のような思いをしてひとつだけ良かったことは、「私には株の才能がないので、カタギの仕事で頑張って稼ごう!」と心を入れ替えられたことかなと思います。当時リーマンショックを食らっていなかったら、新卒で入った会社で今ものほほんとしていたと思いますし、株も仕事も中途半端なままだったと思うので、(二度と経験はしたくはないですが、)いい契機にはなったかなと思います。
そんなわけで、今回の新型肺炎相場で小さくない傷を負ってしまった方もおられるかと思いますが、その分何か他のことで取り返されることを陰ながらお祈りしています。
*参考記事 2019-11-11