【3189】ANAP/他社ECとの競合激しいが、財務良好で優待維持か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3189】ANAP(東証JQS)  NT

現在値 591円/100株 PER20.6 PBR1.2 8月配当優待

若い女性向け衣料・雑貨「ANAP」展開。ネット比率6割弱。春夏偏重の業績構造。

配当金は8月末の6円配のため、配当利回りは1.02%となります。

ANAPは株主優待制度を実施しており、8月末に100株以上を保有する株主に対して、自社商品3割引券のほか、iTunesギフトカード3,000円相当を発行しておりますので、後者だけを算出対象にした場合の配当優待利回りは約6.09%となります。

業績を確認していきます。
■2016年8月期 売上高 70.7億円、営業利益▲0.6億円 EPS ▲4.8円
■2017年8月期 売上高 68.4億円、営業利益 2.0億円 EPS 44.9円  
■2018年8月期 売上高 66.2億円、営業利益 3.4億円 EPS 58.5円

■2019年8月期 売上高 62.6億円、営業利益 0.8億円 EPS 14.4円  

■2020年8月期 売上高 69.5億円、営業利益 1.5億円 EPS 28.5円 ce 
□2020年2月期 売上高 32.0億円、営業利益 0.0億円 EPS ▲2.3円 四e


2019年8月期の売上高は前期比5.5%減の62.6億円、営業利益は同74.7%減の0.8億円となり、増収微増益であった期初予算を大きく下回って減収減益となりました。主力のEC事業については、自社サイトでの買上比率を向上させるべく、システム構築(AWS化)やAI強化、アプリの内製化等の取り組みを実施し、購入率及び買上単価は良化したものの、マクロ的観点においてファッションECサイト乱立やメルカリ等のセカンダリー市場サイトに客を奪われてしまい、自社サイトへの来訪者数(滞在時間)が未達となったことから、トップライン段階から大きく潰されました。一方、従来型の店舗販売事業については、前期までの不採算店閉鎖の一巡効果もあり、減収とはなったものの残った既存店が前期比123%水準で大変好調に推移し、概ね前期並みの利益を確保しました。


進行期である2020年8月期の予算については、売上高が前期比11.1%増の69.5億円、営業利益は同80.0%増の1.5億円と反発を予想しています。今期については、そもそも他ECサイト等との競合が激しい自社サイトへの投資より、リアル店舗にもその効果が波及しやすいブランド自体のプロモーションに重点を置いた施策を進めていく方針ではあるものの、一応YouTubeの訴求広告やInstagramのアプリ広告投下で自社サイトのテコ入れを図ります。また、回復の続く従来型の店舗販売事業については、不採算店の閉鎖があらかた済んだことから、今後は年3~5店舗の新規出店を進める方針であり、実際に昨年10月にはイオンモール武蔵村山、ららぽーと沼津の2店舗の出店を果たしています。

 

当社は中期的な業績の目標値を開示していないものの、翌2021年8月期までの3年間は「先行投資期間」として位置付けられており、最低限の利益は確保しつつも、中長期的な成長のための種蒔きを実施する方針です。そして、翌々期の2022年8月をメドに60%まで進めたEC化率を、リアル店舗の再出店により50%まで戻していく意向があるようです。これは上述したような商流の激変により、当社が得意としてきた“小ロット、多品種、低価格”のMDが自社サイト販売に馴染まなくなってきたため、再びイオンモールやららぽーとといったファミリー向け郊外SCへの出店に舵を切っているものと考えられます。実際のところ、旗艦ブランドの「ANAP」よりも下年代のプレティーン、ローティーン向けの「ANAP GiRL」や子供服の「ANAP KIDS」の方が好調に推移しているため、かような方針転換は理解出来る部分もありますが、いかんせん向こう数期については業績的に見栄えがしない可能性が高そうです。

 

なお、財務的には2013年のIPO時に約3億円(@500円)で調達していることもあり、ネット無借金状態となっており、自己資本比率も約57%をキープしています。そのため、株主還元については年6円の配当と手厚い株主優待を実施しているものの、まだ株主数も5,000人程度であり、現時点ではこの水準の株主還元を維持出来る状況にあるものと考えています。

 

 

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