【3497】リーガル不動産(東証マザーズ) OP
現在値 1,258円/100株 PER4.95 PBR1.04 7月配当 株主優待あり
権利調整後に収益物件化する不動産開発が柱。賃貸や仲介、介護施設も。
今期も配当予想は未定であるものの、実績ベースは5円であり、その場合の配当利回りは約0.39%となります。
リーガル不動産は株主優待制度を実施しており、7月末時点の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.19%となります。
業績は下記の通りとなっております。当社は昨年10月のIPO銘柄です。
■2016年7月期 売上高 110億円、経常利益 5.6億円 EPS 199円
■2017年7月期 売上高 148億円、経常利益 7.0億円 EPS 237円
■2018年7月期 売上高 192億円、経常利益 8.6億円 EPS 292円
■2019年7月期 売上高 237億円、経常利益 11.1億円 EPS 259円
■2020年7月期 売上高 341億円、経常利益 11.5億円 EPS 264円 ce
□2019年10月1Q 売上高 38.1億円、経常利益 0.0億円 EPS ▲6円(12/13)
□2020年1月2Q 売上高 140億円、経常利益 10.3億円 EPS 222円 四e
2019年7月期の売上高は前期比23.1%増の237億円、経常利益は同29.8%増の11.1億円となり、上場時点公表の予算に対して、売上高は若干未達だったものの、利益は大きく超過達成しました。主力の販売事業において、開発型の一棟賃貸マンション「LEGALAND」の販売が順調に進捗したものの、前期計上の大型仲介スポット案件の剥落影響が大きかったほか、一部案件が翌期持ち越しとなったことで、売上が計画に届きませんでした。一方、利益面については、SAPIX高田馬場校を高宮学園(Yゼミ)系に売却したほか、昨年三井不動産から取得した北浜にある西川三井ビル、本町所在の靱イーストビルをシンガポールのタクラルへと売却し、これらが好採算だったことから計画を大きく上回った模様です。
進行期である2020年7月期の通期予算については、売上高が43.9%増の341億円、経常利益は同3.0%増の11.5億円を予想しています。主力の販売事業については、賃貸マンション「LEGALAND」に加えて、開発型ホテル「LEGASTA」、民泊マンション「LEGALIE」の販売を推進するほか、期ズレ分の計上が予定されています。売上高の高い伸びのわりに、利益がほぼ横ばいの計画ですが、実績期の販売案件(転売案件)が特に好採算だったことや、自社保有目的だった賃貸不動産をかなり販売に回してしまったため、利益率の高い賃料収入割合が落ちてしまうことが要因と考えられます。
当社はこのたび向こう3年間の中期経営計画を開示しており、最終年度となる2022年7月期の売上高を337億円(CAGR12%)、経常利益12.7億円(CAGR4%)を見込んでいます。上場までの4期ほどは売上高CAGRが約3割あり、非常に高い成長モメンタムを実現していましたが、これが一気に減速するような見立てになっているほか、利益については3年後も横ばいという期待ハズレの中計となっています。これは、これまで販売・転売が中心だったフロー型の事業ドメインを、自社保有による賃貸が中心のいわゆるストック型へ切り替えて、事業バランスを再構築していくことが要因であり、スポット利益の顕在化がしずらくなるため、見た目の数値はどうしても見栄えがしないものになります。
今後の施策としては、相続対策商品である賃貸マンション「LEGALAND」を地盤の大阪エリアだけでなく、数億円の物件であってもついてこられる富裕層の基盤が段違いに厚い東京エリアでの販売を進める方針です。また、当社の出自でもある任意売却案件絡みの専門家ネットワーク(主に税理士)をフルに活用し、情報提供者に対して実現利益の10~20%を分配することで、独自の仕入ルートを構築するとともに、自社従業員に対しても実現利益の最大4割を給料として戻すことで、情報提供者・従業員のインセンティブを極大化させ、仕入・販売を推進します。これ以外では、大阪メトロの朝潮橋再開発計画のJVに参加し、複合開発の知見の溜め込みを進めるほか、本社向け一括賃借型オフィスの開発(セットアップオフィス)など新型のアセットタイプの開発も進めるなどしています。
財務面については、昨年のマザーズ市場上場時にOA込みで約12億円(@1,380円)を調達し、上場前は3.8%(!)だった自己資本比率を足許で7.5%まで良化させているものの、依然ハイレバレッジ状態となっています。会社側は最低でも10%まで回復させる方針としていますので、当面は配当も極限まで絞ったものになるとみられ、今期の配当予想は未定ながら5円~10円(配当性向は2%~4%)が精々と考えられます。ただ、東証一部への鞍替えについても明言していることもあり、足許では予想通り株主優待制度を新設してきましたが、これは還元というより株主数・流動性確保のためと考えられます。
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