社会人になって仕事が忙しくなったこともあり、信用維持率40%前後のハイレバ状態ながらも、あまり株に目をかけることが出来ずにやや放置気味になりがちでしたが、実際のところ手を出した銘柄が全然騰がらなくなってきて株が面白くなくなってきました。「流動化をやっている」、とさえ言えば単なる不動産転売屋さんでも上がっていた銘柄も、直近で付けた高値を超えられずにズルズルと下がっていくようになりました。一番やられたのはMKキャピタルマネジメントであり、(2006年)4月頃には1株100万円を優に超えていた株価が、5月31日には43万円まで急落していたため、信用で6百万円程買い建て、起死回生の一発大勝負をしました。ところが同社株は更に直滑降状態のまま下がり続け、僅か2日後には株価は35万円まで下がってしました。こうなってくると完全に恐怖心をコントロール出来なくなった私は、精神的に完全にラリってしまい、早く少しでも楽になりたい一心で全ての建玉の反対売買を済ませました。この時既に総資産は1,000万円の大台を割り込んでいましたが、この僅か3日間でその2割強にあたる200万円を更に失いました。さすがにこの時ばかりは生きた心地もせず、夜も全く眠れない有様で、どうやって会社に行っていたのか今でも不思議に思います。
そして、不動産流動化銘柄は簡単に儲かるけど、簡単に損も出来るのでさすがにヤバ過ぎると思い、一旦セクターを変えることにしました。選んだのは当時の飲食フランチャイズビジネスの走りで、レインズインターナショナルの「牛角」を一大焼肉チェーンに育て上げたベンチャー・リンクの関連会社であるリンク・ワンでした。外食企業のコンサルティングをする傍ら、北海道の「スープカレー心」の全国展開をしようとしていた同社は、ベンチャー・リンクの力を借りて「壱番屋」のようなスープカレー店に成長していくことが期待されていました。また、外食企業ということで、株主優待制度もあったので、優待券が貰えるように現物で買った上で信用でも買い建てて、当時渋谷の桜丘にあった店舗で彼女と優待券で食事したりしたのをよく覚えています。そして結果、4月に1株83万円で信用・現物あわせて買ったリンク・ワン合計3株は、7月半ばには1株38万円と半分以下になり、こちらも先述のMKキャピタルほどではないものの、僅か3ヶ月ほど130万円程の損失となりました。どうやら優待で食べたカレーは1食20万円以上もする代物だったようです。カレー自体は美味しかったのですが、非常に高くつきました。
ただこの失敗の後も、「やっぱり自分には不動産流動化銘柄だ」と、学習効果を活かせず立ち返ってしまい、後にSBIの完全子会社となり上場廃止となるリビングコーポレーションで100万円弱損失を出したほか、片手間で手を出したネットエイジグループ(現ユナイテッド)やサイバーエージェントの空売りでもそれぞれ100万円近く穴を空け、途中プロパストなどのスマッシュ・ヒットで80万円を取り返したりもしたものの、毎月50万円~100万円がコンスタントに失われていきました。特にサイバーエージェントは売り建てた7月27日から、8月15日の間に株価は11.5万円から16.4万円まで大跳躍し、にわかに信じられないような値幅で壮絶に踏まされました。
なお、私に一番の大損を負わせたMKキャピタルマネージメントはその後上場廃止となり、その後アトラス・パートナーズと合併し、イデラキャピタルマネジメントへ名前を変えることとなります。同社は非上場のままであるものの、傘下のREITを2016年に三井物産と共同で上場させることで株式市場に舞い戻ってきています。そのREITの名前は投資法人みらいといいますが、それは10年も後の話となります。(続く)
※次の記事 2019-11-12
【なちゅの履歴書⑨】リーマンショックと2回目の挫折(社会人2年目)
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。