ここ数日、あれだけ叩き売られていた銀行株が何かの間違いかのように買われています。
そもそも銀行株がこれだけ安くなったのは、米国金利の根強い先安観や、マイナス金利
を掘り続ける欧州各国につられて、本邦もそう簡単に利上げなどできない情勢となってい
るため、利ザヤを削られる銀行は「お先真っ暗な未来」が容易に想像されることなどから、
徹底的に叩き込まれた・・・というのが、主たる理由かと考えています。
ただ、足許の動きとしては、米国・欧州ともに金利下落に一服感が出てて反発してきてい
ることや、急速に積み上げられたショートポジションのアンワインド、そもそも日本株の持
ち高を減らしまくってきた外国人投資家勢の買戻しなどが一気に重なって、銀行株が戻
った(指数にキャッチアップしやすい三菱UFJは特に選好された)ものと思われます。また、
メガバンクに限らず、SBIによる島根銀行出資に端を発し、地銀の統廃合や連携が進む
期待が高まったため、地銀は独自のカタリストがワークした可能性などもありそうです。
そして堅調だった銀行株と好対照だったのは、金利上昇が利益減に直結するREITです。
ここ数ヶ月は無双の強さを見せていましたが、金利反発の流れにはさすがに逆らえず、
そもそもスッ高値圏にあったこともあって、格好の利益確定ポイントになってしまったと
いうのが、昨日のREIT市場の一斉安の正体とみられます。元々REITは債券的な性格
も強く、ディフェンシブ銘柄ですので、ひょっとすると“リスクオン相場”入りのシグナルの
ひとつとして捉える向きもいるかもしれません。
ただ、私の考えとしてはこれで“リスクオン相場”に移行したというには時期尚早であり、
あくまで“アンワインド相場”の域を抜けていないと考えています。基本的には金利の
先安観は根強く、本邦でさえ更なる追加緩和観測が燻っている状況ですので、例えば
このまま一本調子で銀行株が買われていく・・・とまでは考えておりません。かと言って、
REITもまだまだ高値圏であり、バリュエーションの妙味は減ってきてしまっているので、
あえて出遅れを物色しにいくのであれば、ディベロッパーとかそんな感じになるのかな
と思います(私は買いませんが)。あとはシンプルに考えて、バリュー銘柄というよりは、
ストレートに金利安恩恵のある借金漬け銘柄も、今後は見せ場が増えるかと思います。
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