【2501】サッポロホールディングス(東証1部) ---
現在値 2,254円/100株 PER20.1 PBR1.09 12月配当 株主優待あり
ビール類国内シェア4位。海外は北米が柱、不動産事業が強い。外食・飲料も展開。
配当金は12月一括の年42円の配当のため、配当利回りは1.86%となります。
サッポロホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元保有の
株主に対して、1,000円相当のビールまたは食品・飲料詰め合わせを進呈しております
ので、配当金と合計した配当優待利回りは約2.30%となります。なお、3年以上長期保有
した場合は優待品が倍額となりますので、その場合の同利回りは約2.75%となります。
業績を確認していきます。なお2017年からIFRSに切り替わっています。
■2015年12月期 売上高 5,337億円、営業利益 139億円 EPS 78.4円
■2016年12月期 売上高 5,418億円、営業利益 202億円 EPS 121.6円
■2017年12月期 売上高 5,365億円、営業利益 128億円 EPS 92.3円
■2018年12月期 売上高 5,218億円、営業利益 108億円 EPS 109.4円
■2019年12月期 売上高 5,488億円、営業利益 126億円 EPS 111.7円 ce
□2019年6月中間 売上高 2,500億円、営業利益 25億円 EPS 10.3円 四e
2018年12月期の売上高は前期比2.7%減の5,218億円、営業利益は同15.4%減の108億円
となり、期初予想を大きく下回り、減収減益での落着となりました。国内酒類事業につい
ては、主力の黒ラベル缶が前期比105%と好調に推移したものの、エビスビールは同90%、
麦とホップが同86%と大苦戦しており、会社の方針として黒ラベルに経営資源を寄せてい
く方向性ではあったものの、強烈な落ち幅となりました。また飲料事業についても、傘下
のポッカが展開する缶コーヒーが、PETボトルやコンビニにリプレイスされてしまったほか、
海外事業についても、2017年に95億円を投じて買収した米クラフトビールのアンカー社が
早くも減損対象となっており、IFRS営業利益で44億円を減損で削られる格好となりました。
進行期である2019年12月期の予算については、売上高が5.2%増の5,488億円、営業利益
は16.4%増の126億円を見込んでいます。主力のビール類については、黒ラベルの伸長と
麦とホップのシェア喪失をネットして実績期横引き水準を予定しているものの、昨年投入
したRTD新商品である「99.99」がかなり好調に推移していることから、同商品の販売数量
を7割弱引き上げる計画となっています。また利益面については、実績期のアンカー減損
の戻り分による良化が44億円あるものの、構造改革(※後述)費用に49億円を投じる予定
となっているため、利益水準については表記程度の水準に留まる見込みです。
今期は2020年12月期を最終年度とする4年間の中期経営計画の3年度目となっており、
最終年度の業績目標は売上高6,400億円(CAGR4%)、営業利益340億円(CAGR14%)を
掲げて、「酒類」「食品」「飲料」の3つ軸でブランド育成を図るとともに、海外進出により
成長していく青写真でした。しかしながら、最初の2年間でエビスビールや麦とホップ、
ポッカ缶コーヒーで想定を超えるシェアを落としてしまったため、屋台骨からグラついて
しまっている状況であり、今期は5つの事業セグメントを「酒類(海外事業や外食含む)」
「食品飲料」「不動産」に再構成し、本業の利益を大きく上回る隠れ本業である不動産
事業を表に出しています。
この不動産事業については、既に実績期では一部の物件を売却して売却益を計上す
る一方、恵比寿駅界隈で3物件を取得しており、傘下のサッポロ不動産開発を中心と
した恵比寿界隈の再開発事業を新たな成長のドライバーとして捉えているものとみら
れます。特に恵比寿・札幌・銀座などに保有する2,150億円の不動産は、その倍程の
含み益(2,000億円程)が乗っているものと推察され、これらを一部売却して顕在化させ
るだけで、全社の利益水準を大きく底上げすることも可能です。参考までに、不動産
含み益を7掛で評価した現状のP/NAV(実質PBR)は、0.6倍程と計算されます。
なお株主還元に関しては、本中計期間においては配当性向30%水準をメドとしているも
のの、実際は40%水準に迫る配当性向で緩やかな増配傾向【37→40→42→42円(予】、
を継続しています。昨年は配当と関係なく、株主優待制度の一部拡充がありましたが、
これはスチュワードシップコード等の背景もあり、買収対象にされがちな当社としては、
なんとか個人投資家比率を上げておきたいという意図があるものとみられます。
*参考記事① 1,850円(1対5、株式併合考慮) ---
*参考記事② 1,140円(1対5、株式併合考慮) ----
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