世の中には値動きを嫌う人も多い(REIT利回り考)。 | なちゅの市川綜合研究所

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投資ブログやTwitterのタイムラインでは中小型株の話が多いため、あまりピンとこない

かもしれませんが、世の中にはじいさん・ばあさん層に代表される個人投資家をはじめ、

機関投資家の中も値動きを嫌う層は想像以上にいっぱいいます。個人投資家の場合は

値上がり幅の多寡よりも、とにかく元本を毀損させたくないという“リスク・リワード”の枠

から外れた心理的な部分が重視されやすいですし、機関投資家の場合は期末で時価に

評価替えをして、損を損として認識する必要があったりもするので、積極的なリターン

狙うアクティブファンドみたいなところは別としても、ある程度のインカムゲインが確保

来るのであれば、余計な値動きなどない方がありがったかったりするのです。

 

実に当たり前の話ですが、値動きとはリスクにほかなりません。ここで一つ例を挙げると、

事業会社の野村不動産HD(3231)の目下の配当利回りは3.66%水準で推移していますが、

傘下REITである野村不動産MF(3462)の利回りは4.06%となっており、利回りの差は僅か

40bp.しかありません。たとえREITとて業績成長も配当成長するものの、事業会社の比で

はありませんので、たった40bp.の利回り差なら普通は事業会社を選好するのが普通の

投資家の発想ですが、足許ではこの利回り差は更に縮小してきているような状況です。

 

また、実際既に逆転してしまっているところもあり、事業会社である積水ハウス(1928)の

利回りは4.58%ですが、傘下の積水ハウスREIT(3309)は3.75%という状況です。これら

事例からも言えるように、成長性や配当よりも値動きが少ないというだけ(それだけじゃ

ないけど)でREITが選好されたりするということが、実際に起こっていたりもするのです。

 

そんなわけで、本エントリはあくまで「世の中に値動きを嫌う向きが意外に多い」という点

を述べたいだけなので、不動産事業会社よりも、傘下のREITの方が評価されているとか

そういう論点ではなく、単純な利回り比較を超えて、REITなどが商品特性として持つ疑似

債券性(値動きが少ない)なども、実は重要な投資論点のひとつであるということです。

 

※こんなエントリをしておいて言うのもなんですが、ワタクシ個人としては値動きリスク

許容出来るので、上述の積水ハウスREITを買うなら、事業会社の積水ハウスを選好して

ますし、実際に買っているのも積水ハウスということを申し添えさせていただきます(笑)

 

 

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