【私見】東証再編による中小型株・優待株への影響について。 | なちゅの市川綜合研究所

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昨年末あたりから、JPXによる東証再編論がよく聞かれるようになってきました。一部

明らかになっているところでは、(新)東証一部は指定要件として、時価総額500~1,000

億円というハードルを設ける可能性があり、およそ7割程度の(現)東証一部銘柄は東証

二部市場とJQS市場を統合した新市場に降格させられる、といったものです。無論、各所

へのハレーションが非常に大きいので、JPXはとりあえずサウンディングから始めている

況ですが、形はどうあれ再編は高い確率で実行される方向で進むものとみられます。


当方の個人的な感想としては、再編しようがしまいが正直まぁどっちでもいいのですが、
いくつか注意しておかなくてはならない点があろうかと思います。まずは時価総額数十

億円~数百億円級の東証一部の中小型株であり、これは単純な話でTOPIXに代表され

るパッシブ需要が剥落するので、機械的に売られる点です。この時価総額レンジの株は

意識高い系の個人投資家さん(とイナゴの皆様)が数倍バガーを狙って買ったりしている

ものが少なくないので、保有銘柄が降格直撃するような場合は言うまでもありませんが、

直撃せずとも中小型株全体のセンチメントが悪くなるため、影響が大きいと思います。

 

また、忘れてはならないのは株主優待の導入ないしは拡充で株主数や時価総額、流動性

といった形式要件を確保し、東証一部昇格を勝ち取ってきた企業群です。その辺の銘柄

は指定替え後も時価総額100~200億円程度に留まっているケースも多く、小手先の対策

では新基準の下限とされる500億円にもまったく届かないため、早々に(新)東証一部への

残留を諦めるケースも出てくると思います、その際は株主優待による“撒き餌”で株主数等

の形式要件を維持するインセンティブがなくなってしまうので、優待が廃止される可能性も

あり、その場合は上述のパッシブ買い剥落と、優待制度廃止でダブルの売り需要が効いて

くることとなります。つまり昇格狙い投資法(※既に公知化しているので最近は逆効果気味)

などは、昇格後直ぐに処分するなどしないと、そのうち逆ブーストがかかるようなケースも

出てくるので、特に注意が必要かと思います。

 

いずれにせよ中小型株を中心に手掛ける個人投資家にとっては、東証再編はポジティヴな

話ではないと思いますので、具体化するまでには中小型株のエクスポージャーを減らして

おくなどの対策をしておいた方がよいかもしれません。

 


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