ゲーセン業界の“残存者利益”確保へ、MA攻勢かける・共和コーポレーション(6570)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6570】 共和コーポレーション (東証2部) ---

現在値 642円/100株 PER10.1 PBR1.10 3月配当株主優待 9月配当

アミューズメント施設の運営、機器販売が主力。業界シェアトップ級。長野・北陸が地盤。
配当は3月・9月の年2回合計17円配当のため、配当利回りは2.65%となります。

共和コーポレーションは株主優待制度を導入しており、3月末時点で100株以上を保有す

る株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約

4.20%となります(※2018年9月末限りの特別優待として、1000円分の進呈がありました。)

業績を確認していきます。当社は昨年3月のIPO銘柄です。
■2016年3月期 売上高 112億円、営業利益 1.8億円、EPS 30.2円 

■2017年3月期 売上高 119億円、営業利益 3.1億円、EPS 69.4円 
■2018年3月期 売上高 132億円、営業利益 5.4億円、EPS 67.6円 

■2019年3月期 売上高 134億円、営業利益 5.4億円、EPS 63.4円 ce
□2018年9月中 売上高 67.8億円、営業利益 2.8億円、EPS 36.6円(11/13)

2018年9月中間期の売上高は前年同期との比較はないものの、売上高は予算比4.0%増

の67.8億円、営業利益は同2.7%減の2.8億円となり、期初計画に対して増収減益での着地

となりました。主力のAM施設運営事業については、プライズ機やメダル機の利用促進を

促すイベント等の販促策を全店で実施したほか、SNSを通じた来店促進策にも注力した

結果、稼働が好調に推移しました。また、AM機器販売事業についても、中古機販売への

注力や、新規取引先の開拓等により順調に推移したものの、新店開業によるゲーム機の

償却負担増が重く、利益は伸び悩む格好となりました。


なお2019年3月期通期の予算については据え置いており、売上高は前期比1.5%増の134

億円、営業利益は同1.2%増の5.4億円と増収増益を予想しています。売上高については、

AM施設運営事業における上期開業の新店(入間)がフルに寄与するほか、下期開業の

新店(上尾・大宮・姫路・山下公園)が期中より業績にオンされる見通しです。特に大宮店

については、期中MAによる外部取得物件であり、当初計画を上回るペースで新規出店

が進んでいるため、トップラインについては上振れる公算が高そうです。また、利益面に

ついても、上期の業績を押し下げた新千歳店の地震休業といった特殊要因が排除され

ることから、巻き返し含みであり、現時点では予算を達成する公算が高そうです。


当社は東証2部IPO企業のため、所謂“成長可能性説明資料”は特に開示されておらず、

中長期的な業績目標も明らかにされていませんが、時間軸を定めないKPIとして「早期の

100店舗体制」を目指しています。時間消費の多様化により、AM施設業界規模は急速に

シュリンクしているものの、当社は経営不振や相続などで立ち行かなくなった同業他社を

MAで飲み込むことにより、緩やかなトップライン成長を続けています。足許の株価は上場

時公募価格である@795円を割り込んではいるものの、上場時に7億円弱を調達しており、

同業他社のMA余力を創出しています(上場時の名目上の資金使途は“機器購入資金”)

自己資本は3割強を確保しているため、小型案件であれば手金とデットで買収を進めら

れる状況であり、こうしたMAとオーガニックな自社出店で外部成長を図るとみられます。


なお、今期の配当は前期比据置きの17円配を予想しており、配当性向は26%強となって

います。既述のとおり当社はMAや自社出店に資金需要があるほか、AM機器販売事業

については“大手卸”としての資金需要もあることから、株主還元はこの辺の水準で当面

頭打ちになるものと考えています。ややプロセスは異なるものの、個人経営のボーリング

場が相続や設備投資に耐えられず、ラウンドワンに置き換わったように、ゲームセンター

も似た様な流れが起きている状況であり、業歴30年を超える当社がいまさら上場してきた

のは、まさにその受け皿としての役割を担うことを意図したものと思われ、残存者利益を

原資とした今後の成長が期待されます。

 


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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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