【3981】ビーグリー(東証一部) --
現在値 1,341円/100株 PER10.5 PBR1.74 12月無配 株主優待あり
スマホ向け電子コミック配信サービス「まんが王国」運営。漫画家、出版社と直接契約。
配当基準日は6月末・12月末ですが、配当実績はなく、今期も無配予定となっています。
ビーグリーは株主優待制度を実施しており、単元株を保有する12月末の株主に対して
1,000円分の自社ポイントを進呈しておりますので、優待利回りは約0.74%となります。
(※なお、本年6月末に限り、一部指定記念優待として10,000円分の進呈がありました)
業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 71.9億円、営業利益 7.6億円 EPS 42.3円
■2016年12月期 売上高 83.3億円、営業利益 7.8億円 EPS 74.1円
■2017年12月期 売上高 89.7億円、営業利益 11.2億円 EPS 114.7円
■2018年12月期 売上高 102.7億円、営業利益 12.4億円 EPS 126.3円 ce
□2018年06月中 売上高 45.3億円、営業利益▲0.8億円 EPS▲18.7円(8/14)
2018年6月中間期の売上高は前年同期比1.1%増の45.3億円、営業利益は同赤字転落の
▲0.8億円となり、当初からCMの積極投入を理由に大減益を予想だった期初予算水準を
さらに割り込んで、大幅な減益着地となりました。これは1Qから4月にかけて“海賊版”が
幅を効かせた影響が大きく、年初に大量投入したCMが殆ど無駄になってしまいました。
ただ2Qの途中からは“海賊版”の影響が薄れ、QoQでは2桁増収を確保したものの、6月
にも追加でCMを投下したため、上期はCM費用だけが大きくのしかかる格好となりました。
なお、2018年12月期の予算については据え置いており、売上高は前期比14.5%増の102
億円、営業利益は10.8%増の12.4億円と予算上は2桁の伸びを計画しています。当初より
上期にCMを集中投下し、下期で刈り取る計画となっていましたが、トップラインの伸びが
想定を下回っており、想定よりも会員獲得が進んでないとみられるため、会社側が据え
置いた期初予算はかなりの過大感があり、未達濃厚と思われます。一応、このCM効果
で「まんが王国」のブランド認知度は「めちゃコミック」「LINEマンガ」に次ぐ24.5%(従20.0%)
へと良化して業界三番手に躍り出たものの、収益貢献には時間差があるため、中長期的
な観点はともかく、今期の業績寄与については限定的なものとなりそうです。
当社は、中長期的な業績目標を開示していないものの、向こう3年程度は電子書籍市場
(注:本市場はコミックが殆どを占める)自体が2桁の成長を継続する見込みであり、当社も
市場並みかそれを超える程度の成長(10%+α%)、程度を目指しているものとみられます。
当社の特徴は、取次を通さずに出版社やその先にいる作家から直接仕入れることであり、
所謂“中抜き”により利幅を確保しているほか、他の電子書籍事業者に対しては逆に当社
が取次として入ることで、小規模ながらも卸としての顔を備えています。また「ギルティ」に
代表される自社オリジナル作品の開拓による利益率の大幅な改善も志向していますが、
これといったヒット作に恵まれていない状況であり、過度な期待は持てない状況です。
当社は2017年の上場銘柄ですが、リサ・パートナーズのファンドのイグジット案件であり、
同ファンドはIPO時に持分の殆どを売り出しています。一応、売出と同時に公募とOAで
10億円弱を調達(@1,880円)していることもあり、10億円の有利子負債を完全にネットして、
事実上の無借金経営であり、財務的には余裕のある状況です。そのため、本年5~6月の
株価低迷時には3.7億円を費やし、発行済株式の4.1%もの自社株買いを実施しています。
電子コミック業界は、頭ひとつ抜け出しているアムタスを除いて玉石混交の世界であり、
同社は親会社のインフォコムとともに同業のパピレスと資本業務提携をして、囲い込みを
進めているような状況です。本業界は同業の買収メリットが非常に効きやすい特徴がある
ため、ファンドExit案件でしがらみのない当社は、“淘汰の本命(花嫁候補)”と言えます。
業界でシェアを握り続けるためには、多額のTVCM費用を継続的に負担する必要があり、
規模の小さい当社がその費用を垂れ流しながら、単独で生き残りを模索するのは現実的
な選択肢とは言えないため、早晩どこかのグループへ合流していく流れを想定しています。
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