これまで優待株をクロスで取られてきた投資家さんも、最近では現物のエクスポージャー
がかなり増えてきたように思います。おそらくアベノミクスの影響で株価水準が切り上がり、
クロスがしずらくなったことや、長期保有制度の増加といったも理由が根底にあろうかとは
思いますが、現物持ちっぱなし派が「いいとこどり」的にかなり儲かっていることから、現物
保有への転向意向が出てきているというのも、理由のひとつだと考えております。現物派
はアベノミクス以降、寝てるだけで“値上がり益”と“優待”、そして“配当金”をトリプルゲット
出来ているケースが多く、無駄に眩しく映ったりすることもあろうかと思いますが、こんなも
のは良い地合いが続いたことによる結果論に過ぎないので、優待株を現物で買っておけば
「絶対負けない」などということは、とても言える感じではないと思います。
優待株を現物で買う上で忘れてはいけないのが、優待株のバリュエーションは既にかなり
高い水準にあるということです。そもそも優待株を現物長期保有するというのは、カジュアル
にクロスで権利を取る感覚とは全くの別物であり、これまでと同じ株価の目線感で捉えて、
現物保有へと切り替えた瞬間、多額の含み損を抱えるケースが見ていてものすごく多いよ
うに思います。足許では小売・外食株などを中心に高値からかなり値崩れしている銘柄も
多いため、「こんなはずじゃなかった」と思われてる投資家さんもいらっしゃるかと思います。
まず利回り確保を目的に優待株を現物で買うなら、東証一部上場の高配当利回り株やその
顔ぶれ、バリュエーション(PER、PBR等)をよく比較してから、買った方がいいかと思います。
銘柄の格も、配当利回りも、その他のバリュエーションや成長力も全部負けてたりすること
もあるかと少なからずあるかと思いますが、そういった銘柄と比較してもなおその優待株を
現物で買いたいという場合だけ買えば、後悔も少なくなるかと思います。昨今の外食等の
優待株ではPER30~40倍、(配当)優待利回りも2~3%、売上も利益も成長してなくても許容、
といった雰囲気すらありますが、東証一部の非優待株に目を転じてみると、PERは1桁で、
配当利回りも3.5~4%を確保できるような優良株が、普通にゴロゴロと転がっています。
私に言わせると、そもそも東証一部の優良株は、優良株であるがゆえ配当利回りが低い
のが本来の姿であり、外食株等に代表される優待株は満足に配当が出せる体力がない
から、その代わりに高い優待利回りの食事券(※会社側は原価ベースでの負担なので、
額面より負担が軽い)を出して株を買ってもらうもの、いう認識を持っています。それが今
ではアベノミクスで潤った個人投資家による優待株買い上げで、「優待株逆利回り革命」
みたいな状況になっているので、そういった状況をよく認識した上で、現物保有する優待
株を慎重に選ばないと、いくら優待株でも怪我をしやすくなってきているように思います。
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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
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