POからの自社株買いで株価意識が鮮明・日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8967】日本ロジスティクスファンド投資法人(東証REIT) ---

現在値 226,200円/1株 PER25.2 PBR1.51 1月分配 7月分配

三井物産をメインスポンサーとする物流特化型。物流最古参、高格付で日銀大量保有。
予想分配金は年2回の合計8,950円配で、予想分配金利回りは約3.96%です。

業績を確認していきます。

■2016年7月期_第22期 営業収益 75.8億円、経常利益 35.6億円 DPU 4,048円 

■2017年1月期_第23期 営業収益 77.4億円、経常利益 35.9億円 DPU 4,081円 

■2017年7月期_第24期 営業収益 79.9億円、経常利益 36.7億円 DPU 4,180円 

■2018年1月期_第25期 営業収益 88.5億円、経常利益 40.4億円 DPU 4,376円 

■2018年7月期_第26期 営業収益 90.9億円、経常利益 41.1億円 DPU 4,450円 ce

■2019年1月期_第27期 営業収益 91.2億円、経常利益 41.6億円 DPU 4,500円 ce


2018年1月期_第25期の営業収益は、前期比10.8%増の88.5億円、経常利益は同10.1%増

の40.4億円で着地し、期初予算もクリアしました。分配金は当初予想の4,350→4,376円へ

26円上振れしています。当法人は昨年9月におよそ2年振りとなるPOを実施(※後述)して

おり、約90億円を調達し「横浜町田」「高槻」の2物件を計270億円で取得したほか、期中

には既存物件再開発(OBR)により「春日井」を取得したことが主な前期比差異で、予想比

での良化は金利コストの削減により実現した模様です。


進行期である2018年7月期_第26期の営業収益は2.6%増の90.9億円、経常利益は1.8%増

の41.1億円と増収増益を見込んでおります。期中3月に「柏」「仙台港北」の2物件を取得

したことや、25期の取得物件の通期稼働効果が寄与する見込であり、2017年に取得した

物件の固都税費用化が始まるものの、分配金は4,376→4,450円へ74円上積みされます。

 

上述のとおり、当法人は久々のPOにより成長路線に舵を切っております。今期は2019年

1月期_第27期を最終年度とする3年中計の最終年になっており、最終的な分配金目標は

4,500円を目指しています。年間200~300億円を取得することによる外部成長にくわえ、

独自の取り組みとしてOBRを推進することとしています。既にOBRは4物件の実施実績が

ありノウハウが蓄積されてきているほか、容積率未消化が多く、築年経過により除却損が

少ない等の条件を満たす物件もまだ2~3物件あるとみられ、この辺が成長のドライバー

となることが期待されます。

 

また、メインスポンサーである三井物産が、当法人の運用会社株をマイナースポンサー

であるケネディクスから10%(譲渡後は10%)、三井住友信託から9%(譲渡後は20%)を追加

取得して、70%を握って主導権を握りました。最近の三井物産のAM事業を強化は鮮明で

あり、同じく物産傘下のREIT「投資法人みらい」は上場以降は苦しんでいましたが、足許

での物件売却による分配金カチ上げや利回りコンシャスの物件取得、海外投資家への

IR強化など、なりふり構わない経営スタイルで見事にIPOの株価水準を回復し、今月8日

には初回のPOをローンチするところにまでこぎつけています。

 

物流REIT最古参である老舗の当法人が、みらいに刺激されたのかどうか不明ですが、

2017年9月にPOしたにもかかわらず、3月に自社株買いを25億円(1.2%)を発表しており、

既に枠の半分強を買付してきているため、手段を選ばない姿勢が鮮明になっています。

また、足許でやや株価が持ち直しているとはいえ、NAV1倍に近い「みらい」と比べ、当

法人は0.93倍ほどに抑え込まれているため、会社側はNAV1倍の241,000円水準への

株価復元を強く意識していると推察されます。実際にマテリアルにもNAV割れで増資を

決行したことについて批判があったことにもわざわざ触れているため、400億円ほどの

パイプラインを消化するためにも、当面は株価最優先の運営が期待されます。

 

なお、自社株買いが予定通り実行された場合、進行期で50円、翌期で60円の分配金の

かさ上げ効果が見込まれるため、分配金は4,500円・4,560円に上昇しますので、5bps.

程度の利回り改善が見込まれますが、これは業績予想には織り込まれていません。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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