中小型株集中投資と余計な「思い入れ」。 | なちゅの市川綜合研究所

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種銭の少ない頃のセオリーとして、「自信のある中小型株数銘柄に絞って、四半期決算

や月次状況、リリースなどをしっかりフォローして、集中投資で種銭を増やすことが重要」

などとよく言われます。たしかに銘柄を分散させるとフォローが荒くなりがちなのは間違い

ない反面、集中投資は“わかりやすくて楽”、“集中させた分、上手くいけばすごく儲かる”

“一発当たればカッコよく、個人投資家の間で一目置かれる(~マネー雑誌にも載れる)”

といった自己承認欲求目的のものまで、いくつかの動機があるように思います。

 

言うまでもありませんが、集中投資は諸刃の剣です。特に種銭の少ない時期というのは、

言い換えれば投資経験も少ない時期ですので、そんな時期に選んだ銘柄が都合よく騰が

るというのは、普通に考えてずいぶん都合のよいストーリーです。明らかに最初から実力

があったとみられる凄腕投資家が「自分も最初は集中投資だった」とか仰るのはともかく、

生き残りバイアスの要素も強い億り人の方の言説を鵜呑みにして集中投資をするのは、

高額当選がよく出る売り場で宝くじを買おうとするのと大して変わらない話だと思います。

 

また、個人的な意見を言えば、集中投資で一番よくないと考えている点は、どうしても思い

入れが強くなることです。途中でその銘柄に悪い材料が出てきても、既にかなりのお勉強

時間と投資資金を費やしているため、投資判断を覆して売却するまでの心理的ハードル

かなり高く、結局は社長(※中小型株は口の上手いカリスマ創業者だったりする例が多い)

の未達の言い訳や、巻き返し策を全部好意的に丸飲みして、最後は逃げ場がなくなって

終了みたいな悲劇は枚挙に暇がありません。典型的な集中投資の失敗例と言えます。

 

・・・という訳で、毎年GWは弊ブログへのアクセスも細る時期ということもあり、いつものよう

に好き勝手に“ウザいお説教”を綴ってしまったのですが、十分な投資資金が無いので集中

投資にして種銭を増やさざるを得ないというなら、集中投資にしなくても済むように自信の

ある銘柄の絶対数を増やして広く薄く分散投資するのがよいと思います。必要な銘柄数を

発掘をするまでの手間は数倍になり、これまでより多くの時間を費やすことになりますが、

リスク分散という観点のみならず、特定の銘柄への過度な「思い入れ」も排除され銘柄が

相対化されるので、感情に支配された非合理的な投資判断をしなくて済むかと思います。

 

 

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