ドメイン変革で売上高の増加に弾み、スターツ出版(7849) | なちゅの市川綜合研究所

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【7849】スターツ出版(東証JQS)  ---

現在値 2,036円/100株 PER13.9 PBR0.96  12月配当 株主優待なし*

スターツ系。雑誌「オズマガジン」「メトロミニッツ」発行、「オズモール」を運営。
配当は12月一括の年30円配当のため、配当利回りは1.47%となります。

スターツ出版は定常的な株主優待制度を実施しておりませんが、2017年12月末の

単元保有株主に対して記念優待を実施しており、1,000円分の図書カードとオズマガ

ジン3冊分の進呈がありましたので、実績ベースでの配当優待利回りは2.90%でした。

業績を確認していきます。  
■2014年12月期 売上高 41.6億円、営業利益 2.6億円 EPS 95.5円 
■2015年12月期 売上高 40.9億円、営業利益 2.1億円 EPS 83.3円 
■2016年12月期 売上高 40.1億円、営業利益 3.4億円 EPS 117円  
■2017年12月期 売上高 43.5億円、営業利益 3.5億円 EPS 141円 

■2018年12月期 売上高 47.5億円、営業利益 4.0億円 EPS 145円 ce 
□2018年6月中間 売上高 21.5億円、営業利益 1.8億円 EPS 72.9円 ce 

 

2017年12月期の売上高は前期比8.5%増の43.5億円、営業利益は同2.6%増の3.5億円と

なり、売上高・利益ともに期初予想通りの超ピンポイント着地となりました。主力の東京

マーケティング事業では、構造的に雑誌・書籍等紙媒体の需要が減退しているものの、

主力の「オズモール」における飲食予約・送客事業が、掲載施設の増加等もあり順調に

しました。投稿コンテンツ事業についても、恋愛小説レーベルである「野いちご文庫」の

創刊や「ベリーズ文庫」のジャンル拡充により書籍の販売売上が増加しました。ただ、

昨年2Q時点の落着業績修正で進捗が良かったにも拘わらず、通期の予想は変更して

おらず、会社側の見立て通り、通期は結局予算通りでの着地となったため、翌期以降

に備えて、何らかの先出し費用(要は利益を潰した)を使った可能性もあります。

進行期である2018年12月期の予算については、売上高が9.2%増の47.5億円、営業利

益は12.6%増の4.0億円と増収増益を見込んでいます。「オズマガジン」「メトロミニッツ」と

「オズのプレミアム予約」の連携により、飲食予約・送客の高単価化を図るほか、手薄な

30代男性顧客の取り込みを狙います。また、関西にも社員常駐を開始し、「オズモール」

の掲載施設増加に着手します。このほか、投稿コンテンツ事業については、小説サイト

の新ジャンル拡大、電子コミック「コミックベリーズ」の書籍出版を開始する予定です。

 

当社は2017年12月期を起点とする向こう4年間の業績目標値として、2020年12月期に

売上高40.1→57.0億円(CAGR9%)、営業利益3.4→8.0億円(CAGR24%)を置いています。

この中期目標の業績マイルストンによれば、今2018年12月の売上高は48億円、営業

利益は5.0億円を予定しておりましたので、今期予算を鑑みるに、やや遅れて進捗して

いるようです。それでも主力の「オズマガジン」の売上は前年比で130%で推移している

ほか、書籍についても同様に130%を確保しており、低迷状態の続く雑誌・書籍業界に

おいては比類なき伸びをマークしています。「オズモール」についても、単月予約数は

レコードを更新し続けています。一応、トップラインの成長に関しては会社側の目論見

通りでペースで進捗しているため、ひとまず売上の“嵩”を優先していると思われます。

 

基本的には従来の各媒体である雑誌から、飲食予約・送客の強化を皮切りに、商業

施設や自治体と提携した“コト消費”を中心としたビジネスドメインへの変革の最中で

あり、電子コミック事業も本腰を入れたローンチを控えています。親会社のスターツと

の連携や、同社の牙城である城東・千葉エリアの自治体や交通機関等の開拓が弱く、

いまいちシナジーが薄そうなのが気になりますが、ひとまず見守りたいと思います。

 

なお、株主還元については、今期も配当性向20%水準となる30円配当を据置く方針と

なっています。当社は自己資本比率8割を超える無借金の好財務を誇っていますが、

現金がダブつくと親会社のスターツへの預け金(CMS?)に取られてしまっています。

現時点では当社手許現金と同じ水準の8億円を預託しており、お金がいくらあっても

足りないスターツに0.5%ほどの利息で貸してしまっているので、資本の構造的に仕方

ない部分があるにせよ、何とかしてほしいところではあります。

 

 

会社四季報 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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